文献詳細
特集 第44回日本臨床眼科学会講演集(1)1990年9月 東京
学会原著
文献概要
家族性滲出性硝子体網膜症(FEVR)に併発した裂孔原性網膜剥離96眼について,手術前後の増殖性硝子体網膜症(PVR)を検索した。手術前では15眼16%,手術後では残る81眼中13眼13%にPVRが発症した。対照群350眼でのPVR発症率は,術前3%,術後8%であり,FEVRでのPVR発症率は有意に高かった。
術後にPVRが発症したFEVR群を,耳側周辺部の網膜無血管の広さと増殖性変化の有無を指標として分類し検討した。広い無血管野のある76眼では10眼中13%,新生血管のある5眼では3眼60%と,眼底病変が重篤な程PVRが高頻度に発症した。前者のうち,手術回数の多いものと術中に合併症のあったものにPVRが好発した。特に,SF6 ガスを注入した7眼では3眼43%にPVRが生じた。ガスによるPVRは前方に移動した硝子体が収縮し,バックルの前方の網膜硝子体癒着部から,PVRが主として発症した。増殖性の変化の強い症例では,手術回数の多いものと裂孔が不明なものにPVRが好発した。無血管群よりも発症が多かったのは,新生血管からの血漿成分漏出が常在するために,網膜色素上皮の増殖を促進することがその理由と思われた。
術後にPVRが発症したFEVR群を,耳側周辺部の網膜無血管の広さと増殖性変化の有無を指標として分類し検討した。広い無血管野のある76眼では10眼中13%,新生血管のある5眼では3眼60%と,眼底病変が重篤な程PVRが高頻度に発症した。前者のうち,手術回数の多いものと術中に合併症のあったものにPVRが好発した。特に,SF6 ガスを注入した7眼では3眼43%にPVRが生じた。ガスによるPVRは前方に移動した硝子体が収縮し,バックルの前方の網膜硝子体癒着部から,PVRが主として発症した。増殖性の変化の強い症例では,手術回数の多いものと裂孔が不明なものにPVRが好発した。無血管群よりも発症が多かったのは,新生血管からの血漿成分漏出が常在するために,網膜色素上皮の増殖を促進することがその理由と思われた。
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