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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科45巻3号

1991年03月発行

連載 眼科手術のテクニック—私はこうしている・27

小切開白内障手術の緑内障・白内障同時手術への応用

著者: 天野史郎1 清水公也1

所属機関: 1武蔵野赤十字病院

ページ範囲:P.405 - P.407

文献概要

術式の選択
 緑内障眼への眼内レンズ挿入術は,すでにその有効性・安全性が確認され,白内障・緑内障同時手術という場合も,眼内レンズ挿入術を含むtri—ple procedureを指すことが多い。白内障・緑内障同時手術は手術が1度ですむ利点があるが,2つの手術を同時に行うことは,緑内障手術にとっても,白内障手術にとっても,それぞれを単独で行う場合より不利な点も多い。同時手術の緑内障手術として線維柱帯切除術を選択した場合,術後浅前房による角膜内皮損傷や眼内レンズの嚢外への脱出などの危険性が高まる。眼内レンズの嚢外固定は緑内障眼の眼内レンズ挿入後長期の眼圧コントロールの悪化と有意の関連性があることを筆者らは確認しており1),眼内レンズの嚢外への脱出は眼圧コントロールの悪化へつながる。緑内障手術として線維柱帯切開術を選択した場合,術後の前房出血が術後炎症を増強する。特に虹彩後癒着例や浅前房例など,眼内レンズ挿入術単独でも術後炎症が強く,フィブリン析出やCMEなどの術後合併症の発生が高率で認められる症例では,これら術後合併症の発生の危険性をさらに高めることになる。以上のことより,筆者らは,白内障と緑内障のどちらにも手術適応がある症例に対しては,原則としてまず緑内障手術を優先させ,その後に眼内レンズ挿入術を施行することにしている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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