文献詳細
特集 第44回日本臨床眼科学会講演集(2)1990年9月 東京
学会原著
文献概要
脳障害患者6例での糸状角膜炎について報告した。いずれも従来いわれている糸状角膜炎をきたしやすい眼科的および全身的関連疾患を伴っておらず,涙液分泌減少はなかったが,角膜知覚は減弱していた。顔面神経麻痺による閉瞼障害はなかったが,瞬目異常と眼振,および痙攣発作に伴う強い閉瞼が認められた。脳障害の範囲,意識障害の期間と程度は,角膜の臨床像とは関係しなかった。約半年の間に6例の発症を見たことから,脳障害患者では糸状角膜炎は稀な疾患ではないと考えた。糸状角膜炎を起こしやすい疾患のリストに脳障害を新たに付け加えるべきである。
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