文献詳細
特集 第44回日本臨床眼科学会講演集(2)1990年9月 東京
学会原著
文献概要
我々は以前,外傷性毛様体解離に伴い低眼圧並びに近視化と調節力低下を生じた症例を報告した。その成因機序の解明を目的に,20歳代健常人5名にアセタゾラミド(ダイアモックス®)内服による実験的低眼圧を惹起させ,屈折調節系の変化を測定した。眼圧の降下に伴い,屈折度の近視化,調節力の減弱,浅前房化,水晶体の肥厚が生じた。近視化の程度は減弱した調節力にほぼ相当し,これには水晶体の肥厚が大きく関与していると考えられた。この水晶体肥厚は,ダイアモックス®の毛様体輪状筋への直接作用よりも,眼圧効果によるチン氏帯の張力低下のために生じた偽調節動態であると推論された。
掲載誌情報