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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科45巻4号

1991年04月発行

文献概要

臨床報告

急性期網膜静脈分枝閉塞症に対するレーザーの波長と焦点方式

著者: 田中隆行1 坂本道子1 須藤憲子1 大谷倫裕1

所属機関: 1群馬大学医学部眼科

ページ範囲:P.631 - P.636

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 過去6年間の急性期網膜静脈分枝閉塞症のうち,放置すれば黄斑浮腫のために視力が低下すると考えられた113眼に対して波長と焦点方式の異なるレーザー装置を用いて光凝固を行い,その治療効果と合併症を検討した。レーザーの内訳は,アルゴン27眼,クリプトン32眼,色素レーザー(610nm)焦点ずらし22眼,色素レーザー(610nm)同焦点32眼である。
 その結果,レーザーの種類にかかわらず,網膜出血・黄斑浮腫に対して光凝固は有効であった。術後視力が改善ないしは不変であった例は89眼79%であった。また術後視力が改善した46眼で,視力が固定するのに要した期間は,全体で3.1か月であった。合併症の頻度は,レーザーの波長と焦点方式により異なり,網膜神経線維層欠損は,アルゴン37%,クリプトン9%,色素レーザー焦点ずらし23%,色素レーザー同焦点6%であった。過剰凝固はアルゴン4%,クリプトン25%で,色素レーザー治療例には見られなかった。
 本症に対する光凝固は,どのレーザーでも有効であったが,使用するレーザーの波長と焦点方式により,合併症の頻度は大きく異なっていた。現時点では,同焦点方式のレーザー装置を用いて,610nmなどの長波長で,過剰にならない淡い凝固斑をおくのがよいと結論される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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