文献詳細
特集 第44回日本臨床眼科学会講演集(3)1990年9月 東京
学会原著
文献概要
59歳の女性。呼吸困難のため当院内科に入院した。IgMの著明な増加に伴う過粘度症候群があり,眼科的精査目的で当科を受診した。初診時,血液粘度は9.36cpで両眼網膜静脈の拡張・蛇行,放射状出血がみられた。良性M蛋白血症と診断され,外来通院していたが,数か月後,呼吸困難が増悪して再入院した。眼底は両眼とも網膜中心静脈閉塞症様の変化を示していた。血液粘度は17.3cpと上昇し,血漿交換により眼底所見の改善をみた。原発性マクログロブリン血症と診断され,化学療法が行われた。その結果IgMおよび血液粘度の著明な低下がみられ,網膜出血も吸収された。過粘度症候群に伴う網膜症は血液粘度に相関すると考えられた。
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