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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科45巻6号

1991年06月発行

文献概要

連載 眼の組織・病理アトラス・56

眼内レンズ

著者: 石橋達朗1 猪俣孟1

所属機関: 1九州大学

ページ範囲:P.898 - P.899

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 眼内レンズ(IOL)移植術の普及は目覚ましい。水晶体嚢外摘出後に粘弾性物質を使用し,後房レンズを水晶体嚢内に挿入する術式が現在もっとも安全な方法であるといわれている。多く使用されている後房レンズは,光学部がpolymethylmeth-acrylate(PMMA),支持部がpolypropylene(PP)からなる。PMMAも,PPも,ともに生体にとっては異物であり,IOLに対する反応が起こる。その主なものはIOL表面における細胞やフィブリンの付着である。
 1)細胞反応
 細胞反応とはレンズ移植後に起こるIOL表面への細胞の付着である。臨床的にはスリットランプやスペキュラーマイクロスコープで観察することができる(図1)。組織学的にみると,IOL移植後1日以内にIOL表面にみられる細胞は小型で円形を呈し,主に好中球とマクロファージである。IOL表面の細胞数は移植後3〜4日目がもっとも多く,マクロファージが目立つ(図2,3)。1週間後ではマクロファージと多核巨細胞が主体を占める。多核巨細胞はマクロファージが融合して形成され,数個から十数個の核を有し,IOL表面に広がる(図4)。2週間後ではマクロファージはほとんどみられなくなり,大型の多核巨細胞が言立つ。その後,時間の経過とともに多核巨細胞の数も減少する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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