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特集 第44回日本臨床眼科学会講演集(4)1990年9月 東京 学会原著
経強膜毛様体光凝固術により一過性の完全失明をきたした1症例
著者: 花田美穂1 鈴木亮1 栗本晋二1
所属機関: 1山口大学眼科
ページ範囲:P.949 - P.951
文献購入ページに移動症例は56歳男性。薬物およびレーザー隅角形成術に反応しない両開放隅角緑内障である。YAGレーザー(Microruptor Ⅱ,Lasag)を用い,型通り5-6 J,6shots/象限で10発凝固したとき,患者が右眼の暗黒感を訴えたため凝固術を中止し,細隙灯顕微鏡,蛍光眼底Goldmann-Weekers暗順応計,自動視野計などを用いて精査した。眼底は透見されるのに蛍光眼底検査で網膜血管のみならず視神経乳頭も観察されなかった。写真では辛うじて乳頭が漠然と写る程度であった。前房中には大小多数の細胞が浮遊しており,硝子体に著しい混濁がみられた。視神経および網膜に検眼鏡的な異常は認められなかった。ステロイドの全身投与と星状神経節ブロックで9日目に視力が0.9まで回復した。しかしGoldmann-Weekers暗順応計では健眼に比べ,異常が1か月以上検出された。
TSYLCは,毛様体冷凍凝固術よりも手技が簡便で手術時間が少ない。しかしながら,TSYLCは十二分に症例を選んで行うべきである。
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