文献詳細
特集 第44回日本臨床眼科学会講演集(5)1990年9月 東京
学会原著
文献概要
最近,全摘後の無水晶体眼や術中後嚢破損例に対して,後房レンズ毛様溝固定が試みられるようになってきた。当院で最近約2年間に手術した18例21眼の術中術後経過について検討を行った。観察期間は平均6.3か月である。全摘出後5眼,嚢外後4眼,眼内レンズ偏位修正7眼などの二次手術計16眼の他,水晶体脱臼などによる一次手術計5眼を対象とした。前部硝子体切除後,粘弾性物質にて角膜内皮と虹彩を保護したうえで,垂直位に9-0プロリン糸を用いて毛様溝縫着固定した。ほとんどの症例で視力改善を認め,手術の合併症はいずれも軽微なものであった。また手術後の眼圧上昇は少なかったものの,房水流出率は低下していた。以上より,後房レンズ毛様溝縫着手術は視力予後がよく,比較的安全な手技と思われるが,血液房水柵への影響は否定できず,長期の経過観察が必要と思われた。
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