文献詳細
特集 第44回日本臨床眼科学会講演集(5)1990年9月 東京
学会原著
文献概要
サルコイド網膜肉芽腫の発生過程を,検眼鏡と螢光眼底撮影にて詳細に観察し得た18歳女性の1症例を報告した。肉芽腫は両眼性で,滲出性網膜剥離を伴った黄白色の隆起性病変として6か所に出現した。螢光所見上,早期に低螢光,後期に旺盛な色素漏出を示し,また,ステロイドの全身投与が著効した。これらの所見は,今までのサルコイド脈絡膜肉芽腫の報告と一致していた。しかし,本症例にみられたすべての肉芽腫は,初診時に網膜静脈周囲炎のみられた部位に一致して発生し,消退後には,網膜色素上皮萎縮などの変化を残さなかったことより,網膜起源であることが強く示唆された。したがって,今回の検討から,過去に脈絡膜肉芽腫と診断されたものの中には,網膜肉芽腫が含まれている可能性があると思われた。
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