特集 第44回日本臨床眼科学会講演集(5)1990年9月 東京
学会原著
各種緑内障眼に伴う水晶体混濁の検討
著者:
星野峰子1
金谷いく子1
溝上國義2
所属機関:
1兵庫県立成人病センター
2神戸大学眼科
ページ範囲:P.1257 - P.1260
文献購入ページに移動
閉塞隅角緑内障(ACG)をはじめとする緑内障眼に伴う水晶体混濁の実態,機序については,いまだ不明瞭な点が多いが,眼圧上昇機序を明らかにする上でも重要である。今回,筆者らは、混濁の種類,その進行のパターンなどの臨床的所見と,白内障手術時に得られた水晶体上皮の組織所見との相関についての検討を行った。対象は,白内障のために水晶体嚢外摘出術を行った184眼である。緑内障種類別内訳は,白内障手術以前に観血的手術既往のない,ACG20眼,POAG30眼,PEG11眼,さらに,緑内障手術既往のある各種緑内障眼(OPE)23眼。同年齢層の緑内障を伴わない白内障眼100眼を対照とした。水晶体上皮の組織的検討においては,術時に得られた前嚢を用いて上皮細胞の密度,面積,さらに前嚢の厚さについて行った。
その結果,水晶体混濁の種類はACG群に核白内障の率が有意に高く,水晶体上皮細胞に関しては,緑内障群,OPE群ともに対照群と比べて面積増大,密度減少が認められた。また,水晶体嚢の厚さについて,今回の検討は,前嚢の中央でのみの検討であるが,ACG群は,対照群に比べて有意に厚いという結果が得られた。