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網膜前出血の中心窩回避現象
著者: 戸部圭子1 岸章治1 高橋京一1
所属機関: 1群馬大学眼科
ページ範囲:P.1281 - P.1285
文献購入ページに移動18眼の原疾患は,糖尿病網膜症16眼,網膜静脈分枝閉塞症2眼であった。細隙灯顕微鏡検査では,網膜前出血は光沢のある薄膜の下にあったが,その前方は液化腔(後部硝子体皮質前ポケット)であり,硝子体は,全例未剥離であった.中心窩回避を示した18眼中17眼で,続発した後部硝子体剥離により,硝子体出血が起こった。そのうち,13眼に硝子体手術が行われた。細隙灯顕微鏡所見,臨床経過と硝子体手術所見から,中心窩回避を呈した網膜前出血の貯留部位は、後部硝子体膜と内境界膜の間隙であると推定された。
網膜前出血の中心窩回避現象は,出血が内境界膜と後部硝子体膜の間隙に広がる際,中心窩での強固な網膜硝子体接着によって,その拡散を阻まれることにより生ずる,と考えられた。同現象は,それを呈する網膜前出血が,後部硝子体膜下出血であるという診断の根拠を与えるものである.
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