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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科45巻8号

1991年08月発行

文献概要

連載 眼科図譜・301

石灰化と骨化を来した失明眼に発生した大きなぶどう膜悪性黒色腫の1例

著者: 晴山正志1 奥田久子1 小林博1 本田孔士1

所属機関: 1京都大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1314 - P.1315

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 緒言 ぶどう膜悪性黒色腫は,結合組織の産生が少なくその腫瘍塊中には石灰化を認めないとされている1)。また眼内石灰化像とぶどう膜悪性黒色腫の共存例の報告もない。筆者らは,網膜剥離により失明し眼底後極部に石灰沈着ならびに骨化をきたした眼内に大きなぶどう膜悪性黒色腫が発生した症例を経験した。
 症例 61歳,男性。1989年10月頃より右眼痛を自覚し,同年12月20日当科受診,手術目的にて1990年1月8日入院。詳細は不明であるが,40年前に右眼網膜剥離のため失明していた。入院時視力は,RV=光覚(−),LV=0.8(1.0×+0.87D)。眼圧は,右11mmHg,左18mmHg。細隙灯顕微鏡検査で,右眼球結膜に拡張した血管が数本みられ,角膜は透明であった。前房内は黄色の充実性腫瘍により占拠されており,腫瘍の表面は多数の血管を伴っていた(図1)。前房より後方は腫瘍により確認できなかった。左眼に異常はなかった。血液検査で検索した腫瘍マーカーすべて(−),WBC5,300,CRP (−),血沈正常,電解質正常であった。頭部CT水平断で腫瘍は充実性で眼球全体を占拠していた(図2)。眼球後極部と水晶体にhigh density areaが認められ,これに一致してCT冠状断で眼球全周をblack bandが取り囲んでいた。頭部MRI水平断T1強調像で腫瘍は低信号であった(図3)。眼球の輪郭は保たれ,大きさも健側と変わらなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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