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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科45巻8号

1991年08月発行

文献概要

特集 第44回日本臨床眼科学会講演集(6)1990年9月 東京 学会原著

白内障術後炎症の角膜温度を用いた定量的評価

著者: 藤島浩1 坪田一男1 熊谷謙次郎2

所属機関: 1東京歯科大学市川総合病院眼科 2佐野厚生病院

ページ範囲:P.1471 - P.1474

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 炎症パラメーターである温度の上昇が眼内の炎症を反映するか否か,非接触型放射温度計を用いて測定し検討を加えた。
 水晶体嚢外摘出術単独または人工水晶体挿入術を施行した32人,32眼の老人性白内障患者を対象とした。術前と術後1日目,2日目,7日目,14日目,30日目に角膜中央部,鼻側,耳側球結膜,上下眼瞼の温度を測定し,他眼との温度差をパラメーターとした。測定は0.1℃の分解能をもつ非接触型放射温度計THI−300を用い,直径10mmの円形部分の平均温度を求めた。
 結果は角膜中央部では,術後1,2,7,14日目に1%の危険率で,術後30日目も5%の危険率で有意の温度上昇を認めた。球結膜は,鼻側,耳側ともに術後1,2,7日目に1%の危険率で有意の温度上昇を認めた。上眼瞼は,術後1,2,7日目に5%の危険率で,下眼瞼は術後1,7日目で1%の危険率で,14日目は5%の危険率で有意の温度上昇を認めた。
 白内障術後の炎症状態において,角膜,結膜,眼瞼に温度が上昇し,これを非接触型放射温度計で測定できた。小型で測定時間も1秒以内であるので,これを用いて眼内炎症を定量化できる可能性が考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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