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臨床報告
常染色体性優性遺伝形式を示したLeber先天黒内障の一家系
著者: 直井信久1 山元章裕1 澤田惇1
所属機関: 1宮崎医科大学眼科
ページ範囲:P.1527 - P.1530
文献購入ページに移動発端者は4か月女児。1か月のときから眼振に気づかれている。対光反応は減弱。両眼底は色素に乏しく,脈絡膜の紋理がはっきりと認められた。赤道部の網膜にわずかな色調のむらがあり,色素性網膜変性症の初期を疑わせたが,視神経乳頭と網膜血管は正常であった。ERGはscotopic ERG,30Hz flicker共にnon-recordableであった。発端者の41歳の父親は,視力右0.06,左0.03。水平性眼振と後嚢下白内障を認め,ERGはnon-recordableであった。彼の兄弟ら(発端者の伯父)も同様の視力障害を持つが,検査は未施行である。発端者の78歳の祖父は視力右光覚なし,左0.04。35歳時の白内障手術後,緑内障を併発したという。ERG検査は両眼とも低振幅を示した。
常染色体性優性遺伝形式を示すLeber's con-genital amaurosisは稀な疾患で,ERG検査なしには見逃されやすい。筆者らの知るかぎり,本家系は報告された三番目であり,本邦では初めてである。
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