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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科45巻9号

1991年09月発行

文献概要

臨床報告

網膜色素変性症に対する東洋医学治療の試み

著者: 岩崎義弘1 松村美代1 後藤保郎1 石川享2 吉田光範2 松本享彦2

所属機関: 1兵庫県立尼崎病院眼科 2兵庫県立尼崎病院付属東洋医学研究所

ページ範囲:P.1561 - P.1565

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 網膜色素変性症患者67名に対し東洋医学治療を行い,治療開始後3か月,12か月の時点での他覚的,自覚的変化につき検討した。治療内容は針および漢方治療であり,針治療は,湖南中医学院付属病院および北京中医研究院付属病院のデータを参考とし,週1回ないしは2回,40ミリ16号針を用いて身体の各部(健明,上晴明,太陽,球後,合谷,曲池,光明)に軽い得気を得るまで刺入し,10〜15分留置した。漢方は,高血圧または高齢の患者には牛車腎気丸(7.5g分3)および桂枝茯苓丸(7.5g分3)を,血圧が正常または低血圧の患者には補中益気湯(7.5g分3)および桂枝茯苓丸(7.5g分3)を用いた。治療開始3か月後視力が改善したものは67名中0名,electroretinogram (ERG)の改善したもの0名,視野拡大傾向を認めたもの5名,視野悪化したもの1名,自覚的に改善したもの11名であった。治療開始12か月後視力改善したものは21名中0名,ERG改善したもの0名,視野拡大傾向を示したもの1名,視野の悪化を認めたもの5名,自覚的改善は9名であった。網膜色素変性症に対する東洋医学治療においてはdrop outする者が多く,視野進行例もその自然経過と同様の頻度で存在し,1年間という限られた範囲内で東洋医学治療をみた場合,有効とはいいにくいと思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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