文献詳細
文献概要
連載 眼科図譜・306
外傷によると考えられたアカントアメーバ角膜炎の1例
著者: 加畑隆通1 石橋康久1 本村幸子1 石井圭一2
所属機関: 1筑波大学眼科 2法政大学生物学研究室
ページ範囲:P.6 - P.7
文献購入ページに移動症例 患者は39歳の男性で,左眼の視力低下,疼痛,流涙を主訴に受診した。現病歴は農業機械の整備中に左眼の異物感を自覚し,その後,左眼の充血,流涙,霧視が出現したため,近医を受診。角膜ヘルペスと診断され,治療を受けたが症状が悪化したため,別の眼科医を受診。そこでアカントアメーバ角膜炎が疑われ,紹介により筑波大学眼科を受診した。初診時所見では左眼の視力は0.02矯正不能であり,角膜の中央に直径約6mmのほぼ円形の白い混濁をみた(図1)。白濁は角膜実質の浅層に限局していて,混濁部の中央の実質には浮腫があった。また混濁部の上皮は不整であったが,上皮欠損や潰瘍は形成していなかった。
掲載誌情報