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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科46巻1号

1992年01月発行

文献概要

連載 眼の組織・病理アトラス・63

原発性蓚酸尿症

著者: 坂本泰二 猪俣孟1

所属機関: 1九州大学

ページ範囲:P.10 - P.11

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 原発性蓚酸尿症primary hyperoxaluriaは,グリシンの代謝酵素欠損のため全身の蓚酸の濃度が増加し,蓚酸カルシウムが全身諸臓器に沈着する稀な疾患である。臨床的には,蓚酸カルシウムの沈着臓器によりさまざまな症状を呈するが,腎不全で死亡することが多い。本症は,常染色体劣性遺伝の形式をとり,幼少時より発症する。
 眼組織では,蓚酸カルシウムは角膜,結膜,虹彩実質,毛様体上皮,網膜,視神経に沈着し,それに伴ってさまざまな眼症状を呈することが報告されている。このうち,網膜への沈着がもっとも高頻度にみられ,しかも視機能に直接影響する場合がある。沈着物が,黄斑以外の部に存在する場合には視力にあまり影響しないが,病変が黄斑に及ぶと著しい視力障害を起こす。また,比較的稀ではあるが,視神経に沈着する場合にも視力障害の原因となりうる。検眼鏡所見としては,後極部眼底にflecked retinaといわれるように黄白色点状沈着物が(図1),または黄斑を中心に黒色斑状の小病変が散在する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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