臨床眼科46巻10号

1992年10月発行

臨床報告

角膜脂肪変性症の1症例

著者： 高橋邦昌¹ 高島保之¹ 飯田文人¹ 鈴木春見²

所属機関： ¹静岡県立総合病院眼科 ²静岡県立総合病院病理検査科

ページ範囲：P.1445 - P.1448

　36歳女性の片眼性の角膜脂肪変性症に対し表層角膜移植術を施行した。その病理組織所見は，光学顕微鏡において，角膜実質内は膠原線維の走行が乱れ，細胞が集積し，その細胞質内に脂肪染色により中性脂肪を証明した。角膜実質内に血管侵入も認めた。電子顕微鏡において，組織球が多数の脂肪球を細胞内に取り込んでいた。本症例は，眼疾患の既往はないが，無症候性の角膜の炎症があって血管侵入が起こり，続発性に角膜脂肪変性症が発生したと推察した。