臨床報告
涙腺良性多形腺腫の免疫組織化学
著者:
辻求1
萩原正博2
所属機関:
1市立伊丹病院病理
2市立伊丹病院眼科
ページ範囲:P.1746 - P.1748
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涙腺由来の良性多形腺腫で,種々の酵素抗体染色をし,腫瘍とともに摘出された正常涙腺組織と比較した。正常組織では,涙腺上皮細胞はEMA,CEA,keratinに染色され,筋上皮細胞はactinによく染まった。良性多形腺腫では,管腔構造を形成する大型の細胞はEMA,CEA,keratinに陽性で,筋上皮様細胞や紡錘形細胞はactinやvimentinに染まった。一部の紡錘形細胞はS-100蛋白にも陽性であった。ヒアリン変性を示す部位や粘液腫様の部位にみられる類円形細胞はvi-mentinとS-100蛋白に陽性であった。GFAPは平滑筋腫様やヒアリン変性や粘液腫様の部位の一部の細胞に染まった。これらの結果は唾液腺由来の良性多形腺腫の免疫組織化学の結果と類似し,GFAPは多形腺腫の腫瘍関連抗原であるという考えを支持している。