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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科46巻13号

1992年12月発行

文献概要

臨床報告

同種骨髄移植後Graft-versus-Host Diseaseの眼症状と治療

著者: 田邉詔子1 平野潤三1 村上真理子1

所属機関: 1名古屋第一赤十字病院眼科

ページ範囲:P.1749 - P.1752

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 同種骨髄移植後のGraft-versus-HostDisease (GVHD)は,しばしば眼にも発現する。急性GVHDの時期に起こるのは結膜炎で,重症のものは偽膜を生ずる。慢性GVHDは乏涙による角膜の障害である。その症状は,
 1)異物感や羞明があるが他覚的所見の少ない   もの
 2)びまん性表層角膜炎(KSD),糸状角膜炎
 3)角膜びらん
 4)角膜潰瘍
 である。
 角膜潰瘍への進行を阻止するよう,早期から眼科的管理が必要である。移植後100日(Day100)またはそれ以前でも,自覚症状が現れた時から,定期的に検診する。
 治療としては,涙点閉鎖が最も確実な効果があるので軽症例以外はまずこれを行い,人工涙液,抗生物質,副腎皮質ステロイド,フィブロネクチン,ビタミンA油剤などの点眼を症状に応じて用いる。ステロイド涙腺注射を併用することもある。角膜穿孔が切迫すれば結膜被覆が必要である。
 乏涙が軽度であった1例の涙腺で,組織学的に萎縮性変化がみられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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