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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科46巻2号

1992年02月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・307

クリスタリン網膜症の角膜沈着

著者: 坂上欧

ページ範囲:P.108 - P.109

 緒言:最近国内で多くのクリスタリン網膜症の報告があるが,三徴候(網膜沈着,角膜沈着,網脈絡膜萎縮)のひとつである角膜沈着の存在については議論の分かれるところとなっている。最初のBiettiの論文1)やクリスタリン網膜症と命名したWelchの論文2)では網膜のみならず,角膜の沈着が記載されている。しかし本邦では角膜沈着の認められたのはわずか2例3,4)であり,大多数が角膜沈着のない症例である5〜7)。しかし実際,初期病変で未だ角膜沈着物を生じていない可能性や,あるいは角膜沈着物の細隙灯顕微鏡所見を見逃す可能性がある。最近,細隙灯スペキュラーマイクロスコープでも観察できたとの報告4)もある。今回筆者らはクリスタリン網膜症で経過観察中,典型的な角膜沈着物を認めたので,細隙灯顕微鏡によるフォトスリット写真を含め報告する。
 症例:51歳,男性。家族歴は特記することはない。全身的には問題はない。既往歴では1983年に左眼の角膜上皮剥離で当科を受診しており,約1週間通院治療を受けている。しかし,この時には角膜沈着物をみなかった。その後1989年会社の定期検診で眼底の異常を指摘され,同7月当科外来を再診した。特に自覚的症状はなかった。視力は右O.04(1.0×-4.5D cyl-0.5DAx100°),左0.06(0.8×-5.0D cyl-0.5DAx20°)であった。この時点でも前眼部に異常はなく,角膜沈着物をみなかった。

眼の組織・病理アトラス・64

増殖性糖尿病性網膜症

著者: 猪俣孟

ページ範囲:P.112 - P.113

 糖尿病性網膜症diabetic retinopathyは,糖尿病による長期間の高血糖または血糖値の著しい変動が,血液性状の変化,血流動態の変化をもたらすことによっておこる眼病変である。血糖の変動を含めた血液性状の変化と血流動態の変化が網膜血管壁の機能的および器質的変化を招き,血管壁の透過性亢進と血管腔の閉塞が生じる。
 血管壁の透過性亢進は,網膜に持続的な浮腫や出血をおこし,やがて網膜組織は変性破壊される。この段階までは,糖尿病によっておこる網膜内の病変として,単純性または背景糖尿病性網膜症background diabetic retinopathyと呼ばれる。

今月の話題

眼科と心身医学

著者: 宮崎榮一

ページ範囲:P.115 - P.120

「心身医学療法」という保険新点数の設定を機会に,心身症の新しい定義とその概念,および診断,治療の大要と2,3の臨床例について考察を加え,眼疾患に対しての心身医学的アプローチの重要性について述べる。

眼科薬物療法のポイント—私の処方・38

眼トキソプラズマ症

著者: 石本聖一 ,   大西克尚

ページ範囲:P.163 - P.165

 患者は12歳,女児。3歳時に外斜視を主訴に受診し,右眼の黄斑部に網脈絡膜瘢痕病巣を発見された。母子ともに血清のトキソプラズマ抗体価が高値で,先天性トキソプラズマ症と診断された。12歳になり左眼の飛蚊症を自覚し再来した。

眼科手術のテクニック—私はこうしている・38

角膜移植とのtriple procedureのコツ

著者: 杉田潤太郎

ページ範囲:P.167 - P.170

角膜移植とのtriple procedure
 全層角膜移植の必要な眼に,ある程度進行した白内障が認められた場合,角膜移植をすることにより,この白内障がより進行することはあっても,よくなることは考えられない。Triple procedureにおける危険因子は,角膜屈折度の変化によるIOL度数決定の困難さや,術後炎症の遷延化あるいは感染頻度の上昇などが考えられる。
 これに対して,角膜移植後にIOL手術を行う場合では,IOLの度数計算はより確実なものとなるが,その間有用視力が得られないという欠点がある。また大きな危険因子として,白内障手術を契機に,graft failureの起こる危険が増すことである。

臨床報告

黄斑上膜に対する硝子体手術

著者: 日下俊次 ,   楠哲夫 ,   檀上幸孝 ,   池田恒彦 ,   田野保雄

ページ範囲:P.123 - P.127

 黄斑上膜に対して硝子体手術を施行した78例78眼(特発性黄斑上膜29例29眼,黄斑皺襞49例49眼)の手術結果についてretrospectiveに検討するとともに,対象例にアンケート調査を実施し,患者の満足度からみた手術適応に関して検討した。術後の視力改善,自覚的変視症の改善,手術結果に満足であったものは,特発性黄斑上膜ではそれぞれ29眼中25眼(86%),20眼中9眼(45%),26眼中16眼(62%),黄斑皺襞ではそれぞれ49眼中43眼(88%),31眼中18眼(58%),42眼中25眼(60%)であった。手術の満足度と関連があったのは特発性黄斑上膜では自覚的変視症の改善で,黄斑皺襞では術後視力良好であった。合併症として水晶体核硬化の発生あるいは進行は全体で10眼(21%)に,術後網膜剥離の発生は5眼(6%)にみられた。特発性黄斑上膜では,視力が改善しても満足を得ているわけではなく,合併症の発生を考慮にいれると,視力良好例に対しての手術には問題があると考えられた。

スキャンニングレーザーオフサルモスコープによる網膜神経線維層欠損の観察

著者: 千原悦夫 ,   高橋扶左乃

ページ範囲:P.129 - P.132

 新しい眼底観察装置であるscanning laser ophthalmoscope (SLO)による網膜神経線維層欠損の検出について述べた。43眼を調べ,網膜神経線維層欠損検出のsensitivityは77%,specificityは91%であった。SLOは散瞳不十分な患者でも検査が可能であり,リアルタイムで観察された所見がビデオもしくは写真として記録でき,しかもフラッシュを使わないため患者に対する負担も少ない。網膜神経線維層欠損の検出率は,通常のカメラを用いた無赤光撮影に比べて若干落ちるが,十分臨床的な使用に耐えると考えられた。

角膜周辺部のエキシマレーザー線状切開による家兎眼での乱視矯正効果

著者: 天野尚 ,   神鳥英世 ,   野寄喜美春 ,   山口達夫

ページ範囲:P.133 - P.138

 角膜乱視の矯正を目的にエキシマレーザー(ArF,193nm)を用い,家兎角膜の12時方向,輪部より3mmと5�の位置に水平に線状切開を行い,角膜屈折力の変化を経時的に観察した。照射後,垂直方向の角膜屈折力は,2種類の切開とも遠視化を示したが,照射後1週目で5mmの切開のほうが平均0.88diopter(D)遠視化が強く認められた。水平方向の角膜屈折力は,3mmの切開では効果は不安定であったが,5mmの切開ではすべて近視化を示した。経時的には,垂直方向の遠視化は照射2週後にピークを示し,その後,徐々に減弱していったが,照射12週後でも3mmの切開で平均0.81D,5mmの切開で平均1.07Dの遠視化効果が得られた。

進行した緑内障眼の線維柱帯切除術の中心視野中心10度以内静的視野検査による追跡

著者: 原岳 ,   木村実 ,   新家真

ページ範囲:P.139 - P.143

 10度以内の中心部視野に障害の及んだ原発開放隅角緑内障患者14名19眼を対象とし,静的視野検査(セントラル10-2プログラム,ハンフリー視野計)を施行し中心部視野に対する線維柱帯切除術の影響について検討した。
 その結果,術後の中心部視野の感度閾値(dB)の変化は,術前の中心部視野と有意に弱い負の相関を示した(P<0.05t-test)。すなわち,術前中心部視野が比較的よい例では術後の感度閾値は悪化傾向を示したが,比較的悪い例では改善傾向がみられた。術前の眼圧,視力,屈折,中心30度以内視野とは有意な相関を認めなかった。
 中心部視野の急激な悪化を示した例はなく,視力は術前後で有意な変化を認めなかった。

抗生物質投与で治癒した弱毒菌感染の疑われた偽水晶体眼内炎の1例

著者: 斎藤純子 ,   西佳代 ,   西起史

ページ範囲:P.145 - P.148

 抗生物質投与で治癒した偽水晶体眼内炎の1例を報告した。6年の糖尿病歴がある63歳女性で,糖尿病性網膜症による左眼硝子体出血および白内障に対し,硝子体切除術を行い,9日後水晶体嚢外摘出と眼内レンズ移植術を施行した。術後良好な経過であったが,2か月後に眼内炎を起こした。抗生物質の内服投与をしたが寛解,再発を繰り返した。しかし,炎症が消失した後も長期間(5か月間)抗生物質(セファクロルCCL)投与を続行し,再燃を認めず良好な経過を示した。治療経過から弱毒菌感染による眼内炎が疑われた。

糖尿病と前房蛋白濃度.4—前房蛋白濃度と網膜血管床閉塞領域の関係

著者: 加藤聡 ,   大鹿哲郎 ,   船津英陽 ,   国定勝郎 ,   山下英俊 ,   澤充

ページ範囲:P.149 - P.153

 糖尿病網膜症患者における前房蛋白濃度(以下 APC)と網膜毛細血管床閉塞領域(以下NP)の関係を検討した。福田分類AⅡ期とBⅠ期の54眼を,レーザーフレア・セルメータで測定したAPCと螢光眼底撮影で判定したNPの広さの間の単相関検定を行うと,両者には有意の正の相関(r=0.69)がみられた。次に,上記対象眼のうちの23眼について,APCを外的基準とし,網膜症病期,腎症の程度と,NPの3因子について多変量解析を施行した(数量化理論第Ⅰ類)ところ,NPがAPCに最も関連することが明らかになった。

2年間に進行したクリスタリン網膜症の1例

著者: 本田雅子 ,   岡島修 ,   平戸孝明 ,   岡本道香 ,   鈴木康之 ,   谷野洸

ページ範囲:P.175 - P.178

 2年後の再受診時に急激に進行していた42歳女性のクリスタリン網膜症の1例を報告する。初診時に角膜に結晶沈着物はなく,眼底後極部を中心に網膜色素上皮と脈絡膜毛細管板の萎縮とともに,黄白色閃輝性結晶様沈着物が左右対称性に散在していた。2年後の再受診時には,脈絡膜萎縮が著明になり,視力は両眼0.7から右眼手動弁,左眼0.1に,視野は輪状暗点から広範囲な中心暗点,ERGは低振幅から記録不能へと変化した。このような急激な進行例はこれまで報告がなく,本症の臨床経過を考える上で重要と思われる。

角膜角化症と考えられる1例

著者: 森康子 ,   下村嘉一 ,   檀上真次 ,   松田司 ,   濱野孝 ,   真鍋禮三 ,   笹木右子

ページ範囲:P.179 - P.182

 角膜角化症と考えられる1例を報告した。症例は61歳の女性で,左眼視力低下と異物感を主訴とした。前眼部所見では,左眼下側角膜輪部から中央部に向かって棒状の膜様物が侵入していた。治療的生検の目的で切除した標本を組織学的に検討した。光顕像では,重層した扁平上皮細胞がみられ,表層の細胞は核を失い,角化していた。電顕像で,表層部に無核,無構造な角化傾向を示す細胞が存在し,基底部においては細胞質内細線維が発達しており,角化像が示された。隣接細胞間は多数のデスモゾームで連結していた。なお,膜様物切除後,左眼視力は(1.0)に改善し,現時点において膜様物の再発は経験していない。

前房内に自然排出した眼内異物の症例

著者: 神田智 ,   上原雅美 ,   前田英美 ,   梅山圭以子 ,   山崎康宏

ページ範囲:P.183 - P.186

 臨床所見より眼球鉄症を疑いながら,画像診断では異物の確認ができず,経過観察中に前房内に異物が自然排出した1症例を経験した。症例は36歳男性。角膜に穿孔創はなく,水晶体は全体に混濁し,前嚢下にrust spotがあった。ERGではb波低下,律動様小波の消失があった。また摘出水晶体は鉄染色陽性であった。その後,隅角下方に異物が自然排出した。摘出した異物の主成分は樹脂で,ごく微量の鉄を含有していたため,非金属に含有された鉄により眼球鉄症を発症したと結論した。画像診断上異物が確認できない症例でも,非金属に含まれる微量の鉄により,眼球鉄症が発症する可能性が示唆された。

小児の視神経炎の2症例

著者: 松下美鈴 ,   児山工

ページ範囲:P.187 - P.190

 中枢神経疾患に伴って生じた小児の視神経炎の2症例を報告した。症例1は6歳5か月の女児で,ウイルス性脳炎に右眼の視神経乳頭炎を合併していた。プレドニソロンの内服により,視神経の発赤,腫脹は改善し,視力は回復した。症例2は5歳6か月の女児で,多彩な中枢神経症状に球後視神経炎を合併していた。マイコプラスマ感染後に生じた急性散在性脳炎と考えたが,多発性硬化症も否定しきれないため今後も小児科および眼科で定期的に経過観察して行く予定である。
 小児の脳炎,髄膜炎では,視神経炎を合併している可能性を常に念頭におき,自覚症状を訴えない場合でも眼科的に観察する必要がある。

両眼性後部強膜炎の小児例

著者: 西篤美 ,   土井素明 ,   澤田達宏 ,   安城孝 ,   岩間喜徳 ,   森一満 ,   宇治幸隆

ページ範囲:P.193 - P.197

 感冒様症状,左眼痛および球結膜充血にて発症し,眼球突出,視神経乳頭の発赤浮腫および網脈絡膜皺襞を認め,両眼性の後部強膜炎と考えられた10歳男児の1例について報告した。Computerized tomography (CT),Magnetic reso-nance imaging (MRI)および超音波検査では後部強膜の肥厚を示し,診断にきわめて有用であった。ステロイド治療に対する反応は良好で,強膜の肥厚の減少および他の症状の改善をみた。著者らの調べた限り本邦では55例の後部強膜炎が報告されているが,その中で15歳以下の小児発症例は4例のみであり,本症例は最も若年での発症であった。

ぶどう膜炎による黄斑浮腫に対する高気圧酸素治療

著者: 沖波聡 ,   仁平美果 ,   岩城正佳 ,   砂川光子 ,   新井一樹

ページ範囲:P.199 - P.201

 黄斑浮腫が視力低下の原因と考えられたぶどう膜炎7例11眼に対して14〜17日間,高気圧酸素治療を行った。治療終了時には6眼(55%)で2段階以上の視力改善が得られたが,治療効果を維持できたのはぶどう膜炎発症から高気圧酸素治療までの期間が短かった1眼と高気圧酸素治療終了後も酸素吸入を続けた3眼であった。高気圧酸素治療は他の治療法が無効な場合には試みてもよい治療法であると考えられる。

網膜症発現前の若年糖尿病患者における水晶体自然螢光と血液眼内柵透過性機能

著者: 石子智士 ,   吉田晃敏 ,   高橋正年 ,   横山哲朗 ,   福井勝彦

ページ範囲:P.203 - P.206

 網膜症発現前の若年糖尿病患者31名(平均年齢14.7±3.0歳)31眼(糖尿病群)と同年代の正常者14名14眼(正常群)に対しフルオロフォトメトリーを行った。フルオレセイン静注前後の眼内螢光測定値をもとに解析を行い,血液眼内柵透過性機能,硝子体内拡散係数,および水晶体自然螢光値を指標として両群間を比較検討した。その結果,正常群と比較して糖尿病群では,水晶体自然螢光値が有意に高く,また,血液房水柵と血液網膜柵両者の透過性が有意に亢進していることが明らかとなった。また,これらの変化は,硝子体ゲルに変化が認められる前に生じている可能性が示唆された。

カラー臨床報告

上強膜血管の拡張と強膜外への浸潤がみられたぶどう膜悪性黒色腫の2症例

著者: 西野和明 ,   竹田宗泰 ,   中川喬 ,   佐藤昌明 ,   堀越貴志

ページ範囲:P.171 - P.174

 毛様体を含むぶどう膜悪性黒色腫で,上強膜血管の拡張および強膜外への浸潤がみられた2症例2眼を報告した。小さな毛様体の腫瘍は,虹彩裏面に隠れ,発見は難しいが,大きくなるとさまざまな臨床症状を呈する。とりわけ上強膜血管の拡張は,腫瘍による眼球壁の圧迫が原因と考えられ,腫瘍の増大が示唆される。本症例では患者自身が上強膜血管の拡張に気づかず,さらに近医にて白内障として経過観察され,発見が遅れた。ぶどう膜悪性黒色腫は日本人には比較的珍しい腫瘍であるが,上強膜血管の拡張がみられた場合,結膜炎と誤診されることもあり,詳細な検眼鏡検査が不可欠である。

追悼

ゴールドマン先生を偲んで

著者: 清水弘一

ページ範囲:P.155 - P.158

 スイスのゴールドマン先生が,1991年11月20日に逝去された。
 先生が,今世紀最大の理論眼科学者であり,先生の業績を抜きにして現代の眼科学を語ることはできないほど偉大な人物であったことは,われわれ日本人にも十分納得できよう。

Letter to editor

「GM1—gangliosidosisの1例」について

著者: 山岸直矢

ページ範囲:P.161 - P.161

 「臨床眼科」45巻12号掲載の島川真知子氏「GM1-gangliosidosisの1例」を興味深く読みましたが,若干の補足が必要と思われます。この疾患は酵素学的にβ-galactosidaseの欠損のため網膜を含む神経組織内にGM1-gangliosideの蓄積を来たし眼底にはcherry red spotがみられます。同じ酵素がgan-gliosideの分解以外にoligosaccharideやglyco-proteinなどの分解に関与していると理解されています。そのためこの酵素の欠損により GM1-gan-glioside以外にこれらの物質が内臓に蓄積し,hepa-tosplenomegalyやHurler病様の骨所見また眼組織では角膜混濁や結膜血管の異常を示すと考えられています。
 またこの疾患に関してはすでに1980年に日眼会誌84巻1号に山岸直矢・永田誠1)で「GM1 Gang-1iosidosis type 1の眼所見および結膜生検について」で,生後7か月の男児の症例を示し,cherry red spotの観察,β-galactosidase活性の低下を結膜生検の電顕的所見とともに報告しております。したがって島川氏論文中にこの論文が引用されておりましたら,より読者の参考になったのではないかと思われます。

文庫の窓から

目薬—精錡水と明治水

著者: 中泉行信 ,   中泉行史 ,   斎藤仁男

ページ範囲:P.208 - P.209

 明治の初め頃,売薬の目薬“精錡水”が時代の脚光をあびて,爆発的に世上に販売されたという話はあまりにも有名である。
 その目薬というのは,ヘボン式ローマ字で有名なヘボン(JCHepburn,1815〜1911)博士の処方により,岸田吟香(岡山の人,本名,銀次,1833〜1905)氏が調製した目薬で,「ヘボン処方集」(明治3年発行)によれば,Zink 1:水450の割合で拵えた(今日のチンク水,硫酸亜鉛水)もので,“精錡水”と名付けられたといわれる。精錡水の精錡はZinkの中国語の当字であって,“シンキ”と読むのが本当であるとのことである,と。(根本曽代子氏,木村泰三氏)

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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