文献詳細
連載 眼科図譜・307
文献概要
緒言:最近国内で多くのクリスタリン網膜症の報告があるが,三徴候(網膜沈着,角膜沈着,網脈絡膜萎縮)のひとつである角膜沈着の存在については議論の分かれるところとなっている。最初のBiettiの論文1)やクリスタリン網膜症と命名したWelchの論文2)では網膜のみならず,角膜の沈着が記載されている。しかし本邦では角膜沈着の認められたのはわずか2例3,4)であり,大多数が角膜沈着のない症例である5〜7)。しかし実際,初期病変で未だ角膜沈着物を生じていない可能性や,あるいは角膜沈着物の細隙灯顕微鏡所見を見逃す可能性がある。最近,細隙灯スペキュラーマイクロスコープでも観察できたとの報告4)もある。今回筆者らはクリスタリン網膜症で経過観察中,典型的な角膜沈着物を認めたので,細隙灯顕微鏡によるフォトスリット写真を含め報告する。
症例:51歳,男性。家族歴は特記することはない。全身的には問題はない。既往歴では1983年に左眼の角膜上皮剥離で当科を受診しており,約1週間通院治療を受けている。しかし,この時には角膜沈着物をみなかった。その後1989年会社の定期検診で眼底の異常を指摘され,同7月当科外来を再診した。特に自覚的症状はなかった。視力は右O.04(1.0×-4.5D cyl-0.5DAx100°),左0.06(0.8×-5.0D cyl-0.5DAx20°)であった。この時点でも前眼部に異常はなく,角膜沈着物をみなかった。
症例:51歳,男性。家族歴は特記することはない。全身的には問題はない。既往歴では1983年に左眼の角膜上皮剥離で当科を受診しており,約1週間通院治療を受けている。しかし,この時には角膜沈着物をみなかった。その後1989年会社の定期検診で眼底の異常を指摘され,同7月当科外来を再診した。特に自覚的症状はなかった。視力は右O.04(1.0×-4.5D cyl-0.5DAx100°),左0.06(0.8×-5.0D cyl-0.5DAx20°)であった。この時点でも前眼部に異常はなく,角膜沈着物をみなかった。
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