文献詳細
臨床報告
文献概要
臨床所見より眼球鉄症を疑いながら,画像診断では異物の確認ができず,経過観察中に前房内に異物が自然排出した1症例を経験した。症例は36歳男性。角膜に穿孔創はなく,水晶体は全体に混濁し,前嚢下にrust spotがあった。ERGではb波低下,律動様小波の消失があった。また摘出水晶体は鉄染色陽性であった。その後,隅角下方に異物が自然排出した。摘出した異物の主成分は樹脂で,ごく微量の鉄を含有していたため,非金属に含有された鉄により眼球鉄症を発症したと結論した。画像診断上異物が確認できない症例でも,非金属に含まれる微量の鉄により,眼球鉄症が発症する可能性が示唆された。
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