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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科46巻3号

1992年03月発行

文献概要

特集 第45回日本臨床眼科学会講演集(1)1991年10月 広島 学会原著

抗核抗体陽性の視神経炎を自己免疫性視神経炎と分類すべきか?

著者: 若倉雅登1 岡野智文2

所属機関: 1北里大学医学部眼科学教室 2現:広島大学医学部眼科

ページ範囲:P.267 - P.270

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 視神経炎のうち抗核抗体(ANA)偽陽性を示す5例と陽性を示す4例の臨床経過を検討し,提唱されている自己免疫性視神経炎(AON)という範疇の妥当性について検討した。ANAのほかリウマチ因子陽性例が4例,DNA抗体陽性1例,抗可溶性核抗体陽性1例,補体価低下1例があった。治療は通常のステロイド療法,パルス療法,非ステロイド療法が症例により行われていた。視力予後は,通常のステロイド療法は他の療法に比し必ずしも優れた点はみられなかった。またパルス療法が一部の症例で著効するも,無効例もあった。一方非ステロイド療法では全例視力予後良好で,自然回復の傾向の強い例もあることが推定された。臨床的特徴,治療に対する反応性からみてANA陽性,偽陽性の視神経炎を他の視神経炎と区別すべき積極的根拠はなお乏しいと考えられた。またANA陽性とパルス療法への反応性を主たる拠り所としているAONという疾患範疇も未だ熟した概念でないと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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