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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科46巻3号

1992年03月発行

文献概要

臨床報告

流涙と結膜充血で発症した眼窩骨腫の1例

著者: 西野和明1 大塚賢二2 五十嵐保男2 中川喬2 朝倉光司3 佐藤昌明4

所属機関: 1自衛隊札幌病院眼科 2札幌医科大学眼科 3札幌医科大学耳鼻科 4札幌医科大学病理部

ページ範囲:P.355 - P.357

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 右眼の流涙と結膜充血で発症し,進行性の眼球突出を主訴とした,25歳女性の眼窩骨腫の1症例を報告した。眼窩骨腫は比較的稀な腫瘍であるが,その主症状はほとんどが眼球突出や眼球運動障害である。本症例も眼球突出を主訴としたが,その前駆症状として,流涙や結膜充血を呈した珍しい症例であった。眼窩骨腫のほとんどは篩骨洞から発生するものであり,その部位や人きさによっては,流涙が発生する可能性がある。本症例では,眼球突出が発症するまでの約5か月間,患者は流涙や結膜充血を自覚していたが放置していた。眼窩骨腫は発育の遅い腫瘍であるが,大きくなると視神経障害や眼球運動障害などが生ずることもあり,本症例のような流涙や結膜充血は,早期の徴候のひとつとして重要と思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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