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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科46巻4号

1992年04月発行

文献概要

特集 第45回日本臨床眼科学会講演集(2)1991年10月 広島 学術展示

10年以上観察した虹彩角膜内皮(ICE)症候群の3例

著者: 布田龍佑1 古吉直彦1 西山正一1 萩原理1

所属機関: 1熊本大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.498 - P.499

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 緒言 虹彩角膜内皮(ICE)症候群は角膜内皮異常,虹彩異常,周辺虹彩前癒着(PAS),続発緑内障を特徴とする比較的稀な疾患である。現在,症例の蓄積によりその本態が解明されつつあるが1,2),その長期観察例の報告はない。ICE症候群と診断し,10年以上経過観察ができた3症例の臨床経過を報告する。
 症例 【症例1】 49歳,女性。右進行性虹彩萎縮症。初診1976年11月。左眼の典型的な急性閉塞隅角緑内障により受診した。左眼に対してはトラベクレクトミーを行った。右眼は初診時矯正視力1.0,眼圧 26mmHg,視神経乳頭,視野は正常であった。しかし右眼も浅前房で,上方9時から4時にかけての捲縮輪外方の虹彩の萎縮と同方向の隅角にSchwalbe線を超える高いPASが認められた(図la)。眼圧調整不良のため1976年12月,トラベクレクトミーを施行,術中術後合併症はなく,その後は縮瞳薬の点眼にて良好な眼圧を保っている。しかし虹彩萎縮は徐々に進行し,1983年には9時部虹彩に孔を形成した(図1b)。また白内障も進行し,現在視力は0.1に低下している。スペキュラーマイクロスコープによる角膜内皮観察では,右眼角膜内皮細胞の著明な細胞数減少と多形性が認められた(図2)。トラベクレクトミー時に得られた隅角部の電顕像を図3に示す。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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