特集 第45回日本臨床眼科学会講演集(2)1991年10月 広島
学術展示
ヒト前嚢下白内障における上皮細胞DNAの定量.原因疾患によるDNA分布パターンの差異
著者:
石田美幸1
岡本庄之助1
池部均1
照林宏文1
赤木好男1
高松哲郎2
所属機関:
1京都府立医科大学眼科学教室
2京都府立医科大学病理学教室
ページ範囲:P.500 - P.501
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緒言 前回筆者らは,顕微螢光測光法を用いてヒト白内障水晶体上皮の核DNA量を測定し,そのDNA合成能および種々の白内障水晶体でのDNA分布パターンの差異につき調べた。その結果,前嚢下白内障においてのみ異常細胞分裂を示す多倍体細胞,mi—cronucleiを有する細胞が高度に出現する特異なDNA分布パターンが認められ,前嚢下白内障の発生に上皮細胞の異常が関与することが示唆された1)。今回,臨床的に前嚢下白内障を比較的多く合併することが知られている糖尿病,アトピー性皮膚炎,網膜色素変性症につき,それぞれの患者から採取した前極部水晶体上皮の核DNA定量を行い,これら原疾患の有無や種類によるDNA分布パターンの差異を検討した。
対象および実験方法 対象は白内障手術を行った48眼で,年齢は8〜75歳である。内訳を表に示した。