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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科46巻4号

1992年04月発行

文献概要

臨床報告 カラー臨床報告

硝子体混濁と網膜滲出斑で初発した眼内悪性リンパ腫の1例

著者: 高橋京一1 村岡兼光1 得居賢二1

所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.533 - P.539

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 65歳女性が右眼の濃厚な硝子体混濁と,左眼の網膜深層の滲出斑を主症状として来科した。両所見とも副腎皮質ステロイド薬の点眼と内服でいったん寛解したのち,15か月後に再発し,右眼は強い硝子体混濁,左眼は視神経萎縮になった。初診から5か月後に,左頭頂葉に悪性リンパ腫が発見され,総量80GyのX線照射を行った。
 左眼滲出斑は,初診時,眼底下方に,網膜色素上皮下を含む網膜深層の淡い円形の混濁として散在性に存在し,経過とともに部位を変えながら発症した。滲出斑は,いったん消失したのち,初診から22か月後に,視神経萎縮と網膜動脈の狭細化を伴い再び現れた。新鮮な滲出斑は,蛍光眼底造影では異常所見を示さず,陳旧化した滲出斑は背景蛍光をブロックした。
 右眼に硝子体切除術を行い,細胞診で大細胞型悪性リンパ腫細胞の浸潤が確認された。本疾患を診断するためには,滲出斑の特徴を理解することが重要であると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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