特集 第45回日本臨床眼科学会講演集(3)1991年10月 広島
学術展示
カタル性角膜辺縁潰瘍の臨床像
著者:
北川和子1
浅野浩一1
佐々木一之1
所属機関:
1金沢医学大学眼科学教室
ページ範囲:P.720 - P.721
文献購入ページに移動
緒言 カタル性角膜辺縁潰瘍は,カタル性潰瘍,辺縁潰瘍,ぶどう球菌性周辺性角膜浸潤,marginal ca-tarrhal ulcers,simple catarrhal ulcers,catarrhalstaphylococcal non-infectious ulcersなどの名称で呼ばれている。主病変は,角膜周辺の円形,楕円形,鎌状の潰瘍,浸潤で,角膜輪部との間に透明帯を有しかつ輪部に平行に配列する(図1)。原因としては,眼瞼や結膜に慢性感染しているぶどう球菌の外毒素ないしはそのアレルギーとされている。治療としては免疫反応の抑制を目的としたステロイド剤の投与と,原因菌の除去を言的とした抗菌薬の投与が有効とされている。今回経験した本疾患についてその臨床像を検討したので,従来の報告との比較を含め報告する。
対象および方法 金沢医科大学眼科外来を1985年1月より1991年10月までに受診した本症患者35例を対象とし,主訴,初診時の前眼部所見,治療経過を検討した。細菌の分離は結膜嚢より行った。培地は,血液寒天培地,チョコレート寒天培地,チオグリコレート培地の3種を使用し,原則として37℃4日間の培養を行った。