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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科46巻5号

1992年05月発行

文献概要

臨床報告 カラー臨床報告

フルオレセイン皮内テスト強陽性に発生した重篤な副作用の1例

著者: 西野和明1 竹田宗泰2 中川喬2 曽根聡2 其田一3 土田英昭3

所属機関: 1自衛隊札幌病院眼科 2札幌医科大学眼科学教室 3札幌医科大学麻酔科学教室

ページ範囲:P.725 - P.728

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 患者は40歳女性で臨床診断は網膜色素線条である。精査の目的で蛍光眼底検査を行う予定であったが,フルオレセイン皮内テストで発赤腫脹が強陽性であり,さらに頭痛や眠気などが生じたため重篤な副作用が予想された。後日,麻酔科医による全身管理のもとで手術室にて,蛍光眠底造影検査を行った。フルオレセインの静脈注射後,約2分で血圧低下,胸内苦悶,心電図でのST低下などが出現し,ただちに検査を中止し,麻酔科医により,酸素吸入や交感神経刺激剤,副腎皮質ステロイド剤の注入などの処置が行われた。約60分後血圧,頭痛,四肢の痺れが回復した。フルオレセイン皮内テストは,臨床的にはショックの予想にほとんど価値がないと言われているが,本症例のごとく,重篤な副作用を予知し得た症例があるので,そのような症例では蛍光眼底検査を中止することが望ましい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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