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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科46巻7号

1992年07月発行

文献概要

特集 第45回日本臨床眼科学会講演集(5)1991年10月 広島 学術展示

後天性網膜分離症の2例

著者: 高柳克典1 藤井千雪1 小原啓子1 小嶋一晃1 臼井淳2

所属機関: 1福井医科大学医学部眼科学教室 2臼井眼科医院

ページ範囲:P.1048 - P.1049

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 緒言 後天性網膜分離症は,進行がきわめて緩徐であり,視力予後は必ずしも悪くないとされている1)。したがってその予防的治療については疑問視されており2),広瀬ら3)は適応について絶対適応と相対適応に分けている。今回,後天性網膜分離症について,後極部に及んでいるがほとんど進行が認められず経過観察中の1例と,網膜剥離を合併し外科的治療を施行した1例を経験したので報告する。
 症例 症例1:24歳,男性。初診:1989年2月15日。主訴:右眼視野異常。現病歴:1989年2月初めより右眼の上方視野異常に気づき,近医にて網膜剥離の疑いを指摘され当科に紹介された。既往歴・家族歴:特記すべきことなし。初診時所見:視力は右0.08(1.0×-5.5 D),左0.1(1.2×-4.0 D)。眼位,眼球運動は正常で,眼圧は右12mmHg,左15mmHg。左眼底には異常所見はみられなかったが,右眼底の下方約1/3に網膜分離症がみられた(図1)。網膜分離症は鋸状縁まで連続し,中心窩から約1/2乳頭径の位置まで達していた。内層は薄く,平坦に隆起し,3乳頭得以下の円孔が散在していたが,外層には円孔はみられなかった。網膜血管は内層に存在し,その陰影が外層に認められ,また,周辺部の綱膜には類嚢胞変性がみられた。螢光眼底撮影では,分離症の境界部が過螢光を呈し,分離部には毛細血管瘤および顆粒状の色素の漏出が多発していた(図2)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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