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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科46巻8号

1992年08月発行

文献概要

特集 第45回日本臨床眼科学会講演集(6)1991年10月 広島 学術展示

視力障害により発見されたリンパ球性下垂体炎の1例

著者: 長坂誠1 白井正一郎1 片野広之2 永井肇2

所属機関: 1名古屋市立大学医学部眼科学教室 2名古屋市立大学医学部脳神経外科学教室

ページ範囲:P.1170 - P.1171

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 緒言 リンパ球性下垂体炎は妊娠を契機に発症することが多いとされ,自己免疫疾患との関連が考えられているまれな疾患である。1962年にGoudieら1)が最初の報告をして以来,本邦での6例を含めて20数例の報告2)があるが,筆者らの調べた範囲内では眼科領域からの報告はみられない。臨床的には視力や視野障害,汎下垂体機能低下があり,下垂体腺腫と類似の症状を示すが,確定診断には組織学的検索が必要である。今回,視力低下と視野異常および全身症状から下垂体腺腫が疑われ,下垂体腫瘤摘出術を行ったところ,組織学的にリンパ球性下垂体炎と診断された1例を経験したので報告する。
 症例 患者は26歳の女性で,既往歴として1982年から全身性エリテマトーデス(SLE)のため,副腎皮質ホルモンの投与を受けている。また,1987年頃からうつ状態が出現し,精神科で治療中である。家族歴に特記することはない。現病歴は,SLEおよび副腎皮質ホルモンの眼合併症の精査のため,1989年9月20日名古屋市立大学病院眼科を紹介された。頭痛・嘔気,視力障害などは自覚していなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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