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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科46巻9号

1992年09月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・313

硝子体混濁で発症し硝子体生検で悪性リンパ腫と診断されたぶどう膜炎

著者: 宮崎俊明 ,   湖崎淳 ,   南後健一 ,   西村哲哉 ,   宇山昌延 ,   石田和寛 ,   稲本裕一 ,   三木正毅

ページ範囲:P.1256 - P.1258

緒言
 眼内悪性リンパ腫は,原因不明,難治のぶどう膜炎の形で発症する1)。従来は眼球摘出後の病理組織検査によりはじめて悪性リンパ腫と診断された1)。最近は房水の細胞診1)や経強膜的脈絡膜生検2),硝子体生検3)が行われ,その有用性が報告されている。筆者らは硝子体混濁で発症し,他院にて1年近くにわたり原因不明,難治であったぶどう膜炎の症例に経毛様体扁平部硝子体切除術と同時に硝子体生検を行った。病理組織学的に悪性リンパ腫と診断することができ,硝子体手術と術後の放射線療法にて治癒したので報告する。

眼の組織・病理アトラス・71

結節性筋膜炎

著者: 坂本泰二 ,   猪俣孟

ページ範囲:P.1260 - P.1261

 結節性筋膜炎nodular fasciitisは,線維芽細胞が反応性に増殖して腫瘤を形成する良性の疾患である。これは軟部組織の腫瘍性病変としては最も頻度の高いものの1つで,通常,上下肢,体幹に発生する。頭頸部にも発生するが,眼科領域では比較的まれで,外眼筋,眼窩内,眼瞼,眉毛部,強膜に発生することが報告されている。臨床的には,比較的急速に増大し,周囲との境界の明らかでない腫瘤を形成し,発赤疼痛を伴う。発生部位によっては眼瞼下垂や複視などを訴える(図1)。あらゆる年齢層に発生し,20歳代から30歳代の若年成人に多い。
 本症の臨床診断はきわめて難しく,病理学的検索で初めて診断される。また,急速に増大し,境界不鮮明な腫瘤を形成するので,臨床的には肉腫との鑑別が必要である。とくに,組織学的に類似した線維肉腫,平滑筋肉腫との鑑別が大切である。

今月の話題

眼科領域におけるparaneoplastic syndrome

著者: 大平明彦

ページ範囲:P.1263 - P.1269

 Paraneoplastic syndromeとは,悪性腫瘍の遠隔効果により生ずる種々の症候群で,神経学的異常を呈することが多い。悪性腫瘍と標的となった正常組織とに共通抗原があることが発症機序の一因として考えられているものが多い。眼科的には,網膜,視神経そして眼球運動神経系での障害が問題となる。

目でみるCT・MRI眼科学・3

[3]眼内疾患

著者: 中尾雄三

ページ範囲:P.1270 - P.1274

 眼内疾患の診断に解像力の向上した近年のCT-ScanやMRIは有用である。とくにMRIの眼内の画像構成要素(緩和時間,プロトン密度)の差に基づくコントラストは他の検査法にはない利点である。眼内疾患のよいMRI画像を得るには高磁場超伝導装置と眼窩表面コイルを用い,撮影中の眼球運動を抑制し,適切なウインドウ条件を選択するなどの工夫が要る。しかし実際に眼内疾患の診断にあたってはCT-ScanやMRIだけでは不十分で超音波検査や基本的な検眼鏡検査,細隙灯顕微鏡検査などの所見も加えて総合的に判断する必要がある。

眼科手術のテクニック—私はこうしている・45

涙点閉鎖術—10-0ナイロンを用いた涙点閉鎖術

著者: 濱野孝

ページ範囲:P.1280 - P.1282

はじめに
 近年ドライアイに対して関心が高まり,涙点閉鎖も種々の方法が考案されている。涙小管内にコラーゲンのロッドを留置する方法や涙点にプラグを挿入する方法1〜4)などが手術以外の方法としてとられている。また,手術方法も従来から行われているコーテリーによる涙点閉鎖以外に,マイクロウェーブやアルゴンレーザーを用いた涙点閉鎖,涙点閉鎖術が失敗した場合に行う涙小管摘出術5)など種々の試みがなされている。涙点閉鎖術の手技自体は簡単であるが,その涙点閉鎖効果の確実性は低いのが現状である。
 当科では年間100例程度の涙点閉鎖を行っており,その標準的な術式を筆者の経験とともに述べる。

臨床報告

角膜移植術後長期観察例での角膜上皮の形態変化

著者: 根岸一乃 ,   村田博之 ,   島崎潤 ,   真島行彦 ,   坪田一男

ページ範囲:P.1285 - P.1288

 全層角膜移植術後長期の上皮の形態変化をスペキュラーマイクロスコピーを用いて観察し,半定量的,定量的解析を行った。対象は全層角膜移植術後に3年以上経過観察のできた26例33眼で,平均年齢は53.4歳,平均観察期間は5年7か月である。角膜中央部の上皮を撮影し,上皮細胞の形態を角膜上皮スコアを用いて半定量的に評価し,上皮解析システムを用いて平均露出細胞面積,その変動係数,扁平率を定量的に解析した。長期間観察例では,紡錘形細胞,大きい細胞,配列の乱れなどのスコアが正常者よりも有意に増加していた。平均細胞面積は887±290μm2,変動係数0.36±0.06,扁平率0.42±0.14で,正常者の値よりも有意に増加していた。

化学療法中に発症し,血小板輸血追加後に軽快した白血病性網膜症の1例

著者: 鹿島佳代子 ,   末房喜代子 ,   大越貴志子 ,   若林芳久

ページ範囲:P.1291 - P.1295

 急性骨髄性白血病(AML)のため,Ara—C療法中の41歳の女性が視力障害を主訴に眼科を受診し,白血病性網膜症と診断した。HLA適合血小板輸血により出血は徐々に改善し,2年を経た現在,完全寛解中であり,良好な視力RV=0.3LV=1.0を回復した。重篤な網膜症は予後不良という報告が多い。本症例は,白血病性網膜症より回復した1例である。

外斜視手術後内斜視の3症例

著者: 初川嘉一

ページ範囲:P.1297 - P.1300

 3例の術後内斜視について報告した。この3例は,ともに4歳児の間歇性外斜視で,術後1週の時点では6〜16prismの内斜偏位であった。これらの症例は術後1か月から9か月頃より内斜視が強くなり,11〜13か月では40〜45prismまで達した。同じ眼または反対眼に再びわずかの量の手術を行い,外斜位となった。過矯正手術の予後と処置について考察した。

白内障手術後の全身合併症の防止対策

著者: 高柳裕子 ,   釣巻穣 ,   清水昊幸

ページ範囲:P.1301 - P.1304

 1990年の当科白内障手術例で,50歳以上の297例に対し術後全身合併症防止対策を施行し,合併症の発症率と程度を,1988年に手術した未対策の354例と比較検討した。
 合併症防止対策としては第1に十分な術前後の補液,第2に高齢者の可及的早い時間帯(午前中)での手術,第3に厳重な術後管理がその内容である。術後合併症の発症率は未対策例の3.1%に対し0.7%と有意に減少し,75歳以上の高齢者では問題となる合併症を認めなかった。また,合併症の程度も比較的軽度な血圧低下と呼吸抑制のみであった。
 以上より,今回行った対策で術後全身合併症は十分に防止できると考えた。

ノイズフィールドテストで検出できなかった視野異常

著者: 安達京 ,   白土城照

ページ範囲:P.1307 - P.1311

 精密閾値検査で盲点の2倍以上の大きさの暗点を有しながら,家庭用テレビのノイズ画面を用いた視野異常自覚的検出法であるノイズフィールドテスト(以下NFT)では異常が自覚されなかった6例12眼を報告した。2例4眼は傾斜乳頭,2例4眼は視神経乳頭陥凹の上鼻側偏位を示すsuperior segmental optic hypoplasiaと考えられる症例,1例2眼は視神経,網膜コロボーマであり,残り1例2眼ではCT検査で後頭葉の先天萎縮が確認された。いずれも先天的視野異常,あるいはその可能性があり,NFTは先天的視野異常と後天的視野異常を鑑別する一助になると考えられた。

増殖糖尿病網膜症を呈したヘモクロマトーシスの1例

著者: 岡島友見子 ,   松橋香里 ,   田島秀樹 ,   野地潤

ページ範囲:P.1313 - P.1317

 肝生検でヘモクロマトーシスと診断されていた64歳男性にみられた二次性糖尿病による増殖糖尿病網膜症の1症例を経験したので報告した。ヘモクロマトーシスの眼合併症としては,角膜への鉄沈着や二次性糖尿病による軽度の糖尿病網膜症の報告がいくつかあるが,増殖網膜症を合併したという報告はきわめてまれである。従来から,二次性糖尿病による網膜症は比較的軽度なものが多いとされていたが,本症例のように増殖網膜症を呈する可能性もあり,一次性糖尿病と同様に十分な眼科的管理が必要であると思われる。

偽水晶体眼の増殖糖尿病網膜症に対する硝子体手術

著者: 宮本和久 ,   池田恒彦 ,   檀上眞次 ,   斉藤喜博 ,   張野正誉 ,   田野保雄

ページ範囲:P.1319 - P.1322

 硝子体手術を行った偽水晶体眼の増殖糖尿病網膜症10眼について検討した。白内障手術時に増殖型であった症例は7眼で,術前,術後を通じて光凝固が不十分な例が多数を占めた。硝子体手術時の問題点は,水晶体?の混濁や散瞳不良などによって眼底透見が困難なことであったが,必要に応じて後嚢部分切除や瞳孔形成などの処置を追加すれば,手術は十分に可能であった。10眼中7眼において視力改善が得られたが,3眼は前部硝子体線維血管性増殖のため眼内レンズ摘出を余儀なくされた。偽水晶体眼の増殖糖尿病網膜症で強膜切開創を中心とした前部硝子体線維血管性増殖に進行した場合は,眼内レンズを摘出したうえで周辺部の増殖性病変の処理を行う必要がある。

乳癌術後,化学療法中に発症したサイトメガロウイルス網膜炎の1例

著者: 沢口桂子 ,   阿部達也 ,   田沢博 ,   小黒祐子 ,   長谷川茂

ページ範囲:P.1323 - P.1326

 乳癌に対する維持化学療法中に発症した両眼性サイトメガロウイルス網膜炎の症例を経験した。抗癌剤の投与中止,体重kg 1日当たり8mgのganciclovir投与による初期治療により網膜炎の改善を認めた。Ganciclovir投与中止3週間後に再発し,体重kg 1日当たり10 mgの再投与により緩解を得た。その後,ganciclovir 5 mg/kg,週3回の投与で外来管理を行っているが,初期療法開始後8か月経過した現在も網膜炎の再燃はみられない。副作用としては肝機能の悪化が認められた。

原発閉塞隅角緑内障に対する隅角癒着解離術単独施行の効果

著者: 戸部隆雄 ,   川崎茂 ,   寺田裕美 ,   阿佐美知栄 ,   藤原憲治 ,   吉田晴子 ,   松村美代 ,   井戸稚子

ページ範囲:P.1328 - P.1330

 瞳孔ブロックを解除しても,眼圧コントロールが困難であった原発閉塞隅角緑内障に対し,水晶体摘出術を併用せずに,隅角癒着解離術のみを行った7例8眼の手術成績について検討した。術後,6眼(75%)にレーザー隅角形成術を行った。経過観察期間は平均18か月で,眼圧は無治療または点眼のみで5眼(63%)がコントロールされた。術後経過観察期間内に周辺虹彩前癒着が増加した例はなかった。術中合併症として虹彩根部からの出血が7眼(88%)にみられたが,術中操作が困難となった例はなかった。術後合併症として一過性眼圧上昇が5眼(63%)にみられたが全例保存的にコントロールできた。術後のフィブリン析出はみなかった。

初期増殖糖尿病網膜症眼での後部硝子体剥離

著者: 広川博之 ,   秋葉純 ,   太田勲男 ,   吉田晃敏

ページ範囲:P.1363 - P.1366

 増殖糖尿病網膜症眼(PDR)と診断された症例で,硝子体出血や牽引性網膜剥離のない46例51眼の硝子体を細隙灯顕微鏡で観察し,後部硝子体剥離(PVD)の起始部位と耳側網膜血管アーケード内のPVDの有無につき検討した。
 後部硝子体剥離は59%(30/51眼)であった。PVDが生じていた例のうち後極部にのみ限局したPVD (局所PVD)は40%(12/30眼)であった。これらPVD眼のすべてに後部硝子体膜による新生血管への牽引があった。耳側網膜血管アーケード内にPVDが生じていた頻度は53%(16/30眼)であった。
 以上より,PDRでPVDは新生血管近傍より生じ,新生血管から遠方へ広がると推測された。また,耳側網膜血管アーケード内のPVDはまれでないと考えられた。

身体障害者更生相談所での視覚障害者の分析

著者: 松本順子 ,   馬鳴昭生

ページ範囲:P.1368 - P.1372

 過去12年間に名古屋市身体障害者更生相談所を訪れた1,155名の視覚障害者を統計的に検索した。障害者手帳該当者は1,035名(89.7%)で,等級は1級から6級までほぼ均等に分布していた。50歳代が315名,60歳代が294例であり,両年代で全体の52.7%を占めた。視覚障害の原因は,強度近視,網膜色素変性症,角膜疾患,緑内障,白内障の順であった。20歳未満は先天性低視力,20歳から40歳では網膜色素変性症,40歳から70歳では強度近視,70歳代では緑内障,80歳代では白内障が首位を占めた。片眼視力が0.02以下の人の他眼の視力は,0.1未満が53.3%,0.1以上0.3が27.0%であった。片眼失明者で他眼視力が0.1以上0.5以下の場合,失明眼の原因は外傷が首位で28.4%であった。両眼重度視覚障害の主要原因は,強度近視,網膜色素変性症,緑内障の順であった。

MRアンギオグラフィが有用であった頸部内頸動脈閉塞症の1例

著者: 横井桂子 ,   初田高明

ページ範囲:P.1373 - P.1376

 血管新生緑内障を呈して当科を受診し,眼虚血症候群の診断のもとに内頸動脈閉塞症を疑い,MRアンギオグラフィで閉塞を確認できた症例を経験したので報告する。症例は62歳男性。左眼虹彩,隅角に新生血管を認め,眼底はいわゆるvenous stasis retinopathyを呈し,螢光眼底造影で腕脈絡膜循環時間,網膜内循環時間の遅延を認めた。前眼部および眼底の所見より眼虚血症候群と診断し,左内頸動脈閉塞症を疑った。確定診断のためMRアンギオグラフィ,頸動脈造影を施行し頸部内頸動脈の完全閉塞が確認された。眼科的に内頸動脈閉塞症が疑われる場合,MRアンギオグラフィは非侵襲的で,スクリーニングとして有用な検査法であると考える。

網膜機能よりみた桐沢型ぶどう膜炎の病態

著者: 竹田美奈子 ,   佐久間健彦 ,   玉井信

ページ範囲:P.1379 - P.1383

 桐沢型ぶどう膜炎(急性網膜壊死)の14例15眼を対象とし電気生理学的所見と網膜剥離の発生,最終視力について比較検討した。ERGはa, b, op波とも障害され重症度を強く反映していたが,特にa波が悪い例では最終視力が不良であった。EOGも程度は様々であったが他のぶどう膜炎に比べて非常に低下していた。発症後3か月後のERG, EOGはともに不変もしくは軽度改善のみであり,本疾患の網膜の障害は不可逆的であることが示唆された。初期のERG, EOGが不良の例では網膜剥離や硝子体の牽引を生じたことから,早期の網膜剥離予防手術の決定の際,眼底所見,螢光眼底撮影と併せERG, EOG検査はその指標の1つとなると思われた。

カラー臨床報告

ヤグレーザーによる虹彩後癒着解離術

著者: 亀井陽 ,   岸章治

ページ範囲:P.1275 - P.1279

 有水晶体眼の瞳孔縁に生じた虹彩後癒着をヤグレーザーで解離した。対象は後癒着による散瞳不良眼で,糖尿病網膜症29眼,陳旧性虹彩炎14眼,その他5眼,計48眼である。モードロック方式のレーザーを用い,出力を1.0〜1.5mJ,照射角を16°に設定し,アブラハムの後発白内障用レンズを併用した。術前後に散瞳剤とステロイドの点眼をした。全例で癒着が解放され,散瞳が可能になった。一過性の虹彩からの出血と,前嚢の点状の陥凹が1例に生じた以外,白内障など問題となる合併症はなかった。前房蛋白濃度は術後4日目には術前値に復した。散瞳した状態での再癒着が31眼に生じたが,必要に応じて再治療が可能であった。本術式による虹彩後癒着解離術は,安全かつ確実に散瞳を達成できるので,眼底の検査と光凝固など治療の前処置として有用であった。

Group discussion

視神経

著者: 北原健二

ページ範囲:P.1384 - P.1385

 今回から臨床眼科学会のグループディスカッション(GD)として「視神経」がスタートした。まず「視神経GD」の発足について松崎 浩先生(慈恵医大)から,視神経疾患を緑内障および神経眼科領域,また微小循環,さらに生理,形態,生化学,免疫,分子生物学などの各側面から集中的に討論する場を設定するため,本GDが発足した経緯が説明された。今回は一般口演6席に加えて,視神経疾患解明へのアプローチの第一歩として,実験的基礎研究,心理物理学的検索,低眼圧緑内障を含む緑内障性視神経乳頭の変化,またレーベル病の遺伝子工学的検索など各領域から指定演題として,一般口演より多少時間をとり,5人の先生にお願いした。

文庫の窓から

点眼瓶の今昔(その1)

著者: 中泉行信 ,   中泉行史 ,   齋藤仁男

ページ範囲:P.1386 - P.1387

 わが国では昔から点眼瓶の代用として蛤の殼がよく用いられたらしい(武藤敏春氏),といわれるが,点眼の用具として点眼瓶が考案され,幾度か改良が加えられて今日のような点眼瓶が作られるようになった。今日そのすべての実物に接することは不可能なので,誌上に掲載された広告等により,投薬用点眼瓶の種類などを挙げてみようと思う。
 辞書によると,点眼とは「眼に薬液を注ぎ入れること」であるが,そもそも点眼はどのように行われてきたのだろうか。小川劍三狼(1871〜1933)氏は『稿本日本眼科小史』(1904年刊)の中に,「点眼スルニハ如何ニセルカ詳ナラサルモ,恐ラクハ木或ハ金属ヨリ作レル棒ヲ用ヰタルナラン」と述べられている。江戸時代の占い眼科書(『眼科指南』)の中にも,底瘴(ソコヒ)の療治に「生脳2分,石膏2分,麝香1分,辰砂少,右ヲ細抹シテ目棒ニテサスベシ』と記されている。

海外レポート

上下涙小管を経た涙道内のポリセンチューブ留置術518眼の成績

著者: 楊存信 ,   楊彬 ,   黄樹春

ページ範囲:P.1388 - P.1390

 1973年より17年間の上下涙小管を経た涙道内のポリセンチューブ留置術518眼の成績を報告した。単純涙道閉塞症334眼の有効率は90.72%で,治癒率は82.64%であった。併発涙道閉塞症(慢性涙?炎)184眼の有効率は70.11%で,治癒率は59.24%であった。筆者らは自家製の涙道挿入のカニューレ・長柄鉤および糸をつけた綿球を利用して鼻腔内の困難な操作を順調に完遂した。上下涙小点を経た内皆への半月形のループは刺激症状が少なく,この方法は1973年当時の文献にまだなかった。

眼球乾燥症に対する涙腺シリコンチューブ留置術

著者: 楊元璋 ,   黄樹春

ページ範囲:P.1391 - P.1392

 1978年5月より1985年10月まで7年5か月間に,眼球乾燥症に対する筆者考案の涙腺シリコンチューブ留置術を69例,125眼に施行した。有効率は92.5%で,そのうち良効85眼,改善34眼,無効6眼であった。視力上昇率が52.8%であった。Schirmer's testは術前全部が3mm以下で,術後はmm以下6眼,4〜7mm34眼,8mm以上85眼であった。本手術の手術操作は簡単で,安全で有効な手術と思われる。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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