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臨床報告 カラー臨床報告
ヤグレーザーによる虹彩後癒着解離術
著者: 亀井陽1 岸章治1
所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1275 - P.1279
文献購入ページに移動 有水晶体眼の瞳孔縁に生じた虹彩後癒着をヤグレーザーで解離した。対象は後癒着による散瞳不良眼で,糖尿病網膜症29眼,陳旧性虹彩炎14眼,その他5眼,計48眼である。モードロック方式のレーザーを用い,出力を1.0〜1.5mJ,照射角を16°に設定し,アブラハムの後発白内障用レンズを併用した。術前後に散瞳剤とステロイドの点眼をした。全例で癒着が解放され,散瞳が可能になった。一過性の虹彩からの出血と,前嚢の点状の陥凹が1例に生じた以外,白内障など問題となる合併症はなかった。前房蛋白濃度は術後4日目には術前値に復した。散瞳した状態での再癒着が31眼に生じたが,必要に応じて再治療が可能であった。本術式による虹彩後癒着解離術は,安全かつ確実に散瞳を達成できるので,眼底の検査と光凝固など治療の前処置として有用であった。
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