文献詳細
臨床報告
文献概要
54歳女性に発症した眼窩結核の1例を報告した。この症例は,眼瞼腫脹,眼痛,視力低下,眼球運動障害などの眼窩先端症候群より始まり,わずか3か月の経過中に視力消失,強角膜壊死に陥り,眼球摘出術を施行した。術後,摘出眼の病理組織検査により,結核と診断した。同時に,上顎洞にも高度の肉芽腫性炎症病変を認め,病巣の上顎洞からの波及を疑わせた。この間,全身の他臓器いずれにも,結核を疑わせる所見はなかった。眼窩結核はきわめて稀な疾患ではあるが,眼窩内腫瘍の鑑別診断として重要であることを示した。
掲載誌情報