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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科47巻10号

1993年10月発行

文献概要

臨床報告

Vogt—小柳—原田病に対するサイクロスポリンA治療

著者: 稲用和也1 林清文2 増田寛次郎3

所属機関: 1旭中央病院眼科 2国立病院医療センター眼科 3東京大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1733 - P.1737

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 副腎皮質ステロイド薬(ステロイド)投与が困難と考えられたVogt—小柳—原田病(原田病)患者6例(男3例,女3例)に対しサイクロスポリンA (CYA)治療を行った。6例中2例は糖尿病と,胃潰瘍とを合併していたために初期からCYAの単独投与を行った。6例中4例は最初ステロイド投与治療を開始したが,経過中に胃潰瘍,精神神経症状,ステロイド緑内障を合併し,さらに4例中3例は症状が遷延化したためにCYA投与を行った。
 CYA初期投与量は6例中5例が10mg/kg/日で,他の1例は5mg/kg/日であった。投与期間は最低4か月,最高3年5か月であった。6例ともCYA投与開始後まもなく症状は軽快し,5例はステロイド・CYA中止後も寛解が得られている(4年4か月〜7年5か月)。1例は腎機能が低下したためにCYA投与を中止せざるを得なく,ステロイドから離脱できなかった。CYA投与による副作用は,腎機能低下,多毛,神経症状,胃腸症状,熱感,悪心であり,CYAの投与量が,5mg/kg/日以上の時に多い傾向にあった。CYAはステロイド投与困難な原田病や遷延例に対して有用な薬剤の一つとなると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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