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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科47巻10号

1993年10月発行

文献概要

臨床報告

Multiple evanescent white dot syndromeにおける電気生理学的所見の経過

著者: 伊藤良和1 伊東雅子1 宮村直孝1 宇治幸隆1

所属機関: 1三重大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1777 - P.1781

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 19歳女性の右眼に発症したmultipleevanescent white dot syndrome (以下MEWDS)の眼所見とERG, EOGを経時的に比較した。主訴は右眼の視力低下で矯正視力は0.3。黄斑部に顆粒状の色素のむらと中間周辺部から赤道部にかけて多数の白斑の散在を認め,ERG a波,b波,律動様小波の著明な減弱と,EOG L/D比の低下およびbase valueの低下がみられた。発症より1か月後には,矯正視力1.0と回復し,眼底の白斑は消失したが,ERG,EOGの回復は遅れ,発症から約6か月後にEOGが正常化し,約1年後に左右眼のERGのb波の振幅に差がみられなくなったが,律動様小波は減弱したままである。これらの経過からMEWDSは,特徴的な眼底白斑の変化や急速な視機能の回復にもかかわらず電気生理学的には長期に異常を呈し,網膜の内層まで病変が及ぶ疾患と考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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