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Siesta
私の原稿“作法(?)”
著者: 中谷一
所属機関:
ページ範囲:P.65 - P.65
文献購入ページに移動 私は何か思いたっても,なかなかその方向に動かない悪い癖がある。これを自称「精神的慣性が大きい」としているが,他人から言わせればズボラなだけ。原稿を依頼されたりすると,大変なことを引受けたなあと思いながら,ぐずぐずしている。そのうちに〆切の日が迫ってくる。〆切は守るほうだから,大慌てで書く。書き上って読み返してみると,「別に大したことを書かなかったなあ。もう数日余裕があると,もう少し良いものになったかもしれない。こんなことならすぐに書けばよかったなあ。まあよい。校正の時に書き直してもう少し“まし”な論文にしよう」と思いながら原稿を発送する。原稿を発送してしまうと,もう全く頭の中から消えてしまっている。やがて校正刷がくる。その時には何をどう変更すべきであったか,すっかり忘れている。おまけに「校正刷での大幅な訂正ならびに図版の修正は最小限におとどめ下さい」と書いてあるので,小心な私はほんの字句の修正程度にするだけ。かくて毎回諸先生方にはお笑い草としか思えないような論文をお目にかけている次第である。
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