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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科47巻11号

1993年10月発行

文献概要

Siesta

内眼手術侮るべからず

著者: 市岡博

所属機関:

ページ範囲:P.101 - P.101

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 近年の手術機器の進歩や新しい手術手技の導入によって白内障手術は今や安全性も極めて高く,患者にとっても負担の少ないものとなった。学会などでもまさに花形で,白内障手術関係のブースはいつも超満員である。100%PEAだの,手術時間は10分以内だの,手術当日から良く見えるだの,数年前までは考えられなかったようなことが言われるようになってきている。しかしここでもう一度よく考えてみる時期にきているのではないだろうか。いくら10分以内でできる手術であっても内眼手術は内眼手術である。
 先日,白内障手術当日に網膜中心動脈閉塞症を発症した症例を経験した。手術時間は約15分,PE症候群で散瞳不良例ではあったが,われながら完壁な手術であったと思った。術翌日の回診の際,眼帯を外しながら自信を持って聞いたものである。“どうです。良く見えるでしょう”と。しかし返ってきた言葉は期待とは大きく異なるものであった。いろいろ手は尽くしたものの,最終的には術前より悪い状態になってしまった。この場合,手術が直接の原因でないとは思うが,間接的原因となったことは間違いない。臨床家としてこれほど悲しいことはない。さらに反省すべきこととして術前に万が一の危険性について話しておらず,簡単で楽な手術であるということで手術を勧めたことである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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