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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科47巻11号

1993年10月発行

文献概要

Siesta

眼内レンズの高屈折率化はメリットかデメリットか?

著者: 魚里博

所属機関:

ページ範囲:P.127 - P.127

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 従来の眼内レンズ(IOL)はPMMAが主流であったが,最近無縫合小切開の創口を目指した高屈折率の折り畳み可能なIOLが注目されている。屈折率1.55程度のアクリル系のIOLで,シリコン(1.41)よりもきわめて薄いレンズが可能となる。確かに手術において高屈折率IOLの薄く折り畳める利点は大きい。しかしはたして,IOLの高屈折率に伴う欠点はないのであろうか? 光学的な観点から考えれば,利点としては,同じ屈折力のIOLでも表面カーブを緩くできる(曲率半径が大きくできる),レンズの中心厚みを薄くできる,さらに球面収差の量を減少できる,眼内レンズの偏位計測が容易となる(反射像が明るくなるため)などがある。一方欠点としては,反射率が大きくなり,透過率が減少する,反射像が明るくなる,色収差が増加する,複視やグレアが強くなるなどがあげられる。
 PMMA,シリコンとアクリルの3つのレンズでの反射率の比較を表に示す。プルキンエ・サンソン第1像(角膜反射像)を1とした相対値で示した。IOLによる反射像(ⅢとⅣ)はかなり相違している。屈折率の高いアクリルレンズではPMMAの約2倍,シリコンレンズの約30倍となり,入射光の約0.6%が反射される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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