臨床眼科47巻3号

1993年03月発行

特集 第46回日本臨床眼科学会講演集（1）　1992.11.6-8　東京 学会原著

Ca拮抗薬の家兎脈絡膜末梢循環に及ぼす影響—レーザースペックル末梢循環解析機による検討

著者： 玉置泰裕¹ 川本英三² 江口秀一郎³ 新家真⁴ 藤居仁⁵

所属機関： ¹東京都老人医療センター眼科 ²大宮赤十字病院眼科 ³東京大学医学部眼科学教室 ⁴東京大学医学部附属病院分院眼科 ⁵九州工業大学情報工学部

ページ範囲：P.365 - P.368

　Ca拮抗薬の家兎脈絡膜末梢循環に及ぼす影響を，レーザースペックル末梢循環解析機を用いて検討した。全身麻酔下で，Ca拮抗薬投与群5匹には塩酸ニカルジピン40μg／kgを，対照群5匹には生理食塩水0.4ml／kgをそれぞれ静注し，脈絡膜末梢血流速度の指標であるnormalizedblur （NB値）を静注後5分間隔で90分間測定した。Ca拮抗薬投与群の脈絡膜NB値は，静注75分および85分後にはそれぞれ静注前の119.7％，113.9％と，対照群より有意に上昇していた。Ca拮抗薬投与群の前値と比べた血圧は静注5分および10分後に対照群のそれに比べ有意に低下していたが，脈拍，動脈血pH,pCO₂，pO₂，直腸温および眼圧は有意差はなかった，塩酸ニカルジピンが脈絡膜末梢循環改善作用を有することが示唆された。