文献詳細
特集 第46回日本臨床眼科学会講演集(2) 1992.11.6-8 東京
学会原著
文献概要
最近4年間に経験した真菌性眼内炎の症例20例35眼を検討し,本症の経過と手術適応について考察した。治療はまず抗真菌剤の全身投与を行い,1〜2週間薬物に対する反応をみて,眼内炎が進行する場合には硝子体手術を行った。薬物治療を開始した時点の進行度により症例を4群に分け,治療効果を検討した。その結果,1期:滲出斑が網膜内に限局していたもの,および2期:羽毛状硝子体混濁があるが軽度で限局性,の症例では22眼中18眼,82%が薬物治療のみで治癒した。4眼は眼内炎が進行したため,硝子体手術を行って全例治癒し,術後視力も良好であった。3期:硝子体混濁が硝子体全体に波及し,眼底透見度が不良,および4期:高度の硝子体混濁のため眼底透見不能,の症例は全例薬物治療が無効であった。3期の症例は6眼全例に硝子体手術を行い,5眼が治癒したが,網膜変性のため術後視力は不良であった。4期では7眼中5眼に手術を行ったが,網膜壊死のため2眼しか治癒しなかった.以上より,本症では2期でさらに進行する場合,および3期の症例では,薬物治療とともに速やかに硝子体手術を行うのがよいと思われた。
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