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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科47巻4号

1993年04月発行

文献概要

特集 第46回日本臨床眼科学会講演集(2) 1992.11.6-8 東京 学会原著

ぶどう膜炎患者における血中組織プラスミノーゲンアクチベータおよびプラスミノーゲンアクチベータインヒビタ−1の動態

著者: 山田利津子1 山田誠一2 石井明治3 小松章1 太根節直1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学眼科学教室 2東京医科歯科大学医動物学教室 3聖マリアンナ医科大学産婦人科学教室

ページ範囲:P.705 - P.709

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 組織プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA)は各種体液,臓器に存在し,運動負荷や精神的ストレスなど様々な生理的状況下で変動し,また血栓症などの血管閉塞,ショックや手術侵襲などの病態時にも変動する。筆者らはこれまでt-PAの活性部位を阻害しない部位で結合するモノクローナル抗体SP−322を用いてt-PA活性を測定し,各種疾患における線溶動態の意義を検討してきた。
 今回は原因不明のぶどう膜炎新鮮例を対象に血中t-PA活性,t-PA抗原,PAI−1抗原を測定し,基準値および中心性漿液性網脈絡膜症患者の値と比較検討した。その結果,ぶどう膜炎患者は基準対照に比べ,t-PA活性(P<0.05),t-PA抗原(p<0.005),PAI−1抗原(p<0.001)が有意に高値を示した。また中心性漿液[生網脈絡膜症患者に比べ,t-PA活性(P<0.01)は有意に高値,PAI−1抗原(p<0.05)は有意に低値を示した。このように血管炎を病態とするぶどう膜炎患者の t-PAおよびPAI−1に認められる血中線溶動態はICSC患者とは異なり,凝固線溶系バランスの関連においても異なる疾患群であることが考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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