臨床眼科47巻5号

1993年05月発行

特集 第46回日本臨床眼科学会講演集（3）　1992年11月東京 学会原著

硝子体手術を施行した若年者の糖尿病網膜症の検討—特に全身所見を中心として

著者： 関根伸子¹ 鈴木純一¹ 斎藤哲哉¹ 吉田富士子¹ 中川喬¹ 竹田宗泰² 奥芝詩子² 鬼原彰³

所属機関： ¹札幌医科大学眼科学教室 ²市立札幌病院眼科 ³札幌医科大学衛生短期大学内科

ページ範囲：P.1013 - P.1017

　若年者の糖尿病網膜症で硝子体手術を行った症例について，その全身的な背景と術後の視力に影響を与える因子について検討した。対象は最近5年間に札幌医大病院で硝子体手術を施行した39歳以下の糖尿病網膜症患者26例34眼である。血糖コントロール不良例は81％，腎症合併例は69％と多く，高血圧の合併は38％であった。IDDMはNIDDMに比べて最終視力が良好であった。腎症が中等度以上ある群，経過中に透析治療を要した群，高血圧を合併していた群の最終視力は，そうでないものと比べてそれぞれ不良であった。神経症，貧血の有無および血糖コントロールの良・不良は，最終視力との相関がなかった。