臨床報告 カラー臨床報告
コーツ病の治療成績
著者:
桑原敦子1
西川睦彦1
伊藤良江1
北村拓也1
宇山昌延1
所属機関:
1関西医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.1288 - P.1292
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関西医大では,最近14年間にコーツ病27例27眼に光凝固による治療を行った。男性21例女性6例,年齢は3歳から35歳,平均15歳,経過観察期間は12か月から14年,平均5.4年であった。初診時の異常血管の範囲は1象限から4象限までさまざまであった。治療は異常血管に対するレーザーによる直接光凝固が主体で,特に最近色素レーザーが導入されてからはほとんどの症例にこれが使用され,血管瘤と異常血管の直接凝固に黄色波長(577nm)を用いた。凝固回数は2回から14回,平均6.3回で,異常血管に対して反復凝固を行った。治療成績は眼底所見からみると改善は23眼88%,不治は3眼12%であった。不治例は,初診時から病巣が眼底全周に拡がって,高度の胞状網膜剥離を伴った症例であった。このような進行例以外は異常血管の反復直接凝固で治癒し,光凝固療法の有効性を確認した。経過中に,初診時とは異なった象限に新たな異常血管が発生し,追加凝固を行った症例が14眼あり,最初の病巣が瘢痕化しても長期にわたる経過観察が必要であった。