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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科47巻6号

1993年06月発行

文献概要

臨床報告

局所麻酔下眼科手術におけるアトロピン前処置の適否

著者: 安間哲史1 安野雅恵1 安間正子1 安間文彦2

所属機関: 1安間眼科 2名古屋大学医学部第1内科

ページ範囲:P.1303 - P.1310

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 局所麻酔下眼科手術における前投薬に,アトロピンを使用した場合と,使用しなかった場合との差異を,ホルター心電図上の心拍数と不整脈を指標として検討した。
 アトロピン使用群では,局所麻酔後に平均脈拍数が25%以上増加した症例が多くみられ,その傾向は70歳以上の高齢者において顕著であった。一方,非使用群では手術後に平均脈拍数が10%以上減少する症例が多くみられた。しかしながら,いずれの群においても,眼心臓反射に由来すると考えられる手術中に突然発生する徐脈はみられなかった。上室性期外収縮は手術過程にはほとんど影響されなかった。一方,心室性期外収縮は,非使用群では前投薬後に一過性に増加し,その後は減少する傾向がみられたが,アトロピン使用群では心室性期外収縮が持続して増加する傾向がみられた。最後に,アトロピンにより誘発された狭心症発作例を供覧した。アトロピンは,ことに高齢者においては循環動態に対する影響が強いため,局所麻酔下眼科手術にルーチンに使用する必要はないものと考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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