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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科47巻9号

1993年09月発行

文献概要

臨床報告

副腎皮質ステロイド治療中に脳膿瘍が発症したトローザ・ハント症候群の1例

著者: 雑喉正泰1 新井三樹1 久野里佳1 大角五輪男1

所属機関: 1静岡市立静岡病院眼科

ページ範囲:P.1657 - P.1661

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 症例は40歳の女性で,左眼窩深部痛,眼瞼下垂,複視を主訴に来院した。左眼の動眼・滑車・外転神経麻痺を認め,CTにて海綿静脈洞部に腫瘤陰影を認めた。トローザ・ハント症候群を疑い,診断的治療の目的で副腎皮質ステロイド剤投与により,症状はほぼ消失した。副腎皮質ステロイド漸減時に眼球運動障害が再増悪し,再度増量したところ脳膿瘍による髄膜炎を発症した。抗生剤投与により軽度の外転障害を残すのみにまで回復した。その後,霧視を訴え,膿瘍の後頭葉への拡大を認めたので,穿刺排膿術を施行したが,右同名半盲を残した。トローザ・ハント症候群の診断・治療では,副腎皮質ステロイドが繁用されがちだが,感染を念頭においた慎重な使用が必要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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