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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科48巻11号

1994年10月発行

文献概要

Ojo

手術中血圧と排尿

著者: 新家真1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院分院眼科

ページ範囲:P.89 - P.89

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 人口の高齢化に伴い,もともと老人が対象となることの多い眼科手術患者の年齢は,今後も,さらに上昇していくことが考えられる。高齢者で,最も一般的な合併症は高血圧であるが,1992年の東大病院本院での全手術患者中,高血圧合併症は28%を占め,うち77%は,薬物治療を受けている例であった。手術当日の朝や,術中に血圧の上昇をみることはよく経験するところである。これは,緊張,痛み,その他のストレス性の刺激が視床下部から血管運動中枢に伝わり,末梢交感神経を経て血圧を上昇させるもので,急激な血圧の上昇は,高齢者では脳出血などの重篤な疾患の原因となる。収縮期血圧は動脈硬化に関連するが,収縮期血圧が200mmHgを超える場合には速やかに処置をとる必要があるとされており,1992年の東大病院での統計では,白内障手術に限ってみても,手術開始前1時間,手術中および同終了後1時間の間に7.3%の患者で収縮期血圧200mmHg以上の高血圧が観察されており,また7.6%の患者で血圧上昇に対して降圧剤が投与されている。
 さて高齢者では,排尿間隔が短いことが知られており,術中または術前後に尿意を訴えることが比較的多いことは,我々のよく経験するところである。緑内障患者などで,術前に高浸透圧剤の投与が行われている場合は特にその頻度が高い。東大病院で局所麻酔下で手術を行った全患者中,術中およびその直前後に実際に排尿に至った例は6%強であり,そのほとんどは手術中であった。尿意を我慢していた例は,実際にはこれよりかなり多いと推測される。ここで排尿前後の血圧を比べてみると,興味あることに,何らかの血圧上昇を示していた患者のうち20例で術中排尿が行われたが,それらの患者では平均34mmHgの速やかな血圧下降が得られていることである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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