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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科48巻11号

1994年10月発行

文献概要

Siesta

目はだんだん衰える?

著者: 稲村幹夫

所属機関:

ページ範囲:P.138 - P.138

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 眼科医が得かなと思うことはいくつかある。患者が死ぬことがまずない,自由な時間がつくりやすい,開業がしやすい,(緑内障の専門家は反対するかもしれないが…)患者に喜ばれやすい等々。たとえば,赤ん坊が産まれたときにはうれしいものだがこれは夫婦の間でうれしいものであり,予供は普通に産まれてあたりまえと思うのである。見えないものが見えた時には自分の不自由が楽になったのであり,同じうれしいでも切実なものがある。しかもこのうれしさはドクターに対しての感謝も強いと思う。歩けないものが歩けたときもうれしいかもしれないが,これは何となく自分の回復力が直したのだとのニュアンスが強い。目はひとりでに悪くなることはあるが,ひとりでによくなることはないという暗黙の常識のようなものがあるのではないだろうか。目は年とともに衰えるというのは,医者の口から言われれば,最初は抵抗あるかもしれないがなんとなく納得してしまう。診療する立場からすればやりやすいのである。しかし,白内障手術がこうも進歩すると,みんながよく見えるようになってあたりまえという考えが一般になってくるだろう。うれしいような悲しいような眼科医のぼやきともなるのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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